
産業廃棄物の処理は、廃棄物を排出した事業者が自らの責任で適正に行うことが原則とされています。
この考え方は、いわゆる排出事業者責任と呼ばれ、廃棄物処理法の基本原則の一つです。
実務では、多くの事業者が処理業者へ処理を委託していますが、一定の条件のもとで、
**排出事業者自らが産業廃棄物を処分する「自ら処分」**という形態も認められています。
その中でも、産業廃棄物処理施設を使用して行う自ら処分については、許可の要否や法的な位置づけを正しく理解しておく必要があります。
自ら処分と産業廃棄物処分業許可の関係
まず重要な点として、自社から排出された産業廃棄物を自ら処分すること自体は、直ちに産業廃棄物処分業の許可が必要となるものではありません。
産業廃棄物処分業の許可は、原則として他人の産業廃棄物を、業として処分する場合に必要となる制度です。
そのため、自社廃棄物のみを処理している限り、「自ら処分=処分業許可が必要」という整理は正確ではありません。
問題となるのは「処理施設」に該当するかどうか
一方で注意が必要なのが、使用する設備が、廃棄物処理法上の「産業廃棄物処理施設」に該当するかどうかという点です。
焼却、破砕、脱水、圧縮、最終処分など、一定の種類・規模・能力を有する設備は、産業廃棄物処理施設として法令上整理されます。
自ら処分であっても、このような処理施設を設置・使用する場合には、処理施設の設置許可や変更許可等が必要となる可能性があります。
ここで問題となるのは、処分業許可ではなく、処理施設そのものに関する規制です。
産業廃棄物処理施設を使用した自ら処分の実務上の整理
産業廃棄物処理施設を使用した自ら処分では、実務上、次のような点が確認されます。
・設置または使用する設備が法定の処理施設に該当するか
・該当する場合、設置許可や変更許可が必要か
・処理能力や構造が基準を満たしているか
・運転管理、維持管理、記録保存が適切に行われているか
特に、設備の規模や能力によっては、「簡易な設備だから問題ない」といった自己判断が通用しないケースもあります。
よくある誤解と注意点
産業廃棄物処理施設を使用した自ら処分については、次のような誤解が見られます。
・自社廃棄物のみだから、許可や手続は一切不要だと思っている
・保管と処分の区別が曖昧なまま運用している
・処理工程の説明ができず、行政相談で指摘を受ける
とくに「保管」と「中間処理」の境界は厳密に判断され、実態として処理行為に該当すれば、是正指導の対象となることもあります。
まとめ
産業廃棄物処理施設を使用した自ら処分とは、排出事業者が自ら排出した産業廃棄物について、自社の設備を用いて処分を行う形態を指します。
自ら処分であっても、処分業許可の問題と、処理施設の設置許可の問題は別に整理されるという点を理解することが重要です。
自ら処分を検討する際には、処理内容や設備が産業廃棄物処理施設に該当するかどうかを事前に整理し、所管行政庁と十分に確認したうえで進めることが、適正処理とリスク回避につながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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