私たちの日常生活を支える産業活動は、同時に大量の廃棄物を生み出しています。事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に定められた20種類に該当するものが産業廃棄物と呼ばれます。この産業廃棄物が年間どれほどの量を排出し、どのような業種・種類から生じているのか。環境省が公表する統計データをもとに確認してみましょう。

総排出量の推移

環境省の発表によると、令和4年度の産業廃棄物の総排出量は約3億7,400万トン(前年度比約192万トン減少)でした。令和元年度の約3億8,596万トンをピークに緩やかな減少傾向が見られますが、依然として年間3億トン台後半という膨大な量が排出されている状況に変わりはありません。この規模は、一般廃棄物(家庭ごみなど)の総排出量と比較しても数十倍に上るものであり、産業活動が廃棄物問題に与える影響の大きさを示しています。

業種別の排出状況

業種別に見ると、特定の業種に排出が集中していることがわかります。近年の傾向では、電気・ガス・熱供給・水道業(下水道業を含む)が最大の排出源となっており、農業・林業、建設業がこれに続きます。さらにパルプ・紙・紙加工品製造業鉄鋼業を加えた上位5業種で、全排出量の8割以上を占めています。電気・水道業からの排出量が突出している背景には、水処理・下水処理の過程で大量の汚泥が発生することがあります。一方、建設業は解体・新築工事に伴うがれき類の排出が多く、景気や工事量に連動して変動しやすい傾向があります。

種類別の排出状況

種類別にみると、最も多いのが汚泥で、総排出量の4割以上を占めています。次いで動物のふん尿、がれき類が続き、この上位3種類だけで全体の8割以上に達します。汚泥は下水処理場や工場排水の処理過程で日常的・大量に発生するため、その占める割合が特に大きくなっています。がれき類はコンクリート片や石材など建設工事で生じる廃材であり、建設業の排出量が多い事情とも密接に関連しています。なお、動物のふん尿については、堆肥化処理や農地への還元といった形で処理されることが多く、中間処理・最終処分とは異なる経路をたどる場合があります。

最終処分量の動向

排出された産業廃棄物は、再生利用・中間処理(焼却・破砕等)・最終処分(埋立等)のいずれかの形で処理されます。注目すべき点として、最終処分量(埋立処分量)は長期的に大きく減少してきており、再生利用や中間処理による減量化が着実に進んでいることがわかります。これは処理技術の向上や、排出事業者・処理業者双方による取り組みの積み重ねによるものといえます。ただし、最終処分場(管理型埋立地等)の残余容量は引き続き逼迫しており、排出量そのものを抑制することの重要性は変わっていません。

排出状況の把握と排出事業者の責務

このような全国的な排出動向を知ることは、排出事業者が自社の廃棄物管理を客観的に位置づけるうえで有益です。廃棄物処理法は、排出事業者に対して自らの責任において産業廃棄物を適正に処理する義務を課しており、排出実態の正確な把握はその第一歩となります。環境省や各都道府県は毎年度の統計を公表していますので、業種や廃棄物種類ごとの傾向を参照しながら、排出量の削減や適正な処理委託の実践に継続して取り組むことが求められます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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