産業廃棄物の収集運搬を外部業者に委託する場合、排出事業者はいくつかの法的義務を履行しなければなりません。委託すれば責任が移転するという誤解が実務上よく見られますが、廃棄物処理法第3条第1項は、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と定めており、委託後も排出事業者の責任は消えません。以下では、収集運搬の委託にあたって確認しておくべき主な事項を整理します。

許可の有無を確認する

 廃棄物処理法第12条第5項は、産業廃棄物の収集運搬を他人に委託する場合は、産業廃棄物収集運搬業の許可を受けた者に委託しなければならないと定めています。

事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第十四条第十二項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に……それぞれ委託しなければならない。(廃棄物処理法第12条第5項)

 無許可業者への委託は委託基準違反となり、排出事業者に対しても行政処分や措置命令が及ぶ可能性があります。委託前に相手方の許可証の写しを必ず入手してください。

許可の地域・品目範囲を確認する

 産業廃棄物収集運搬業の許可は都道府県・政令市ごとに発行されます。廃棄物の積込みを行う都道府県と、積卸しを行う都道府県の両方において許可が必要です。たとえば愛知県内で積み込んで三重県内の施設に搬入する場合、愛知県と三重県それぞれの許可が必要となります。複数の都道府県をまたぐ運搬がある場合は特に注意が必要です。

 また、許可証には取り扱うことができる産業廃棄物の種類が記載されています。委託しようとする廃棄物の種類が相手方の許可の事業範囲に含まれているかを必ず確認してください。積替保管を含む収集運搬を委託する場合は、相手方が積替保管の許可を取得しており、かつ保管場所の所在地が許可に記載されているかどうかも確認が必要です。

マニフェストを交付する

 廃棄物処理法第12条の3第1項は、収集運搬業者に廃棄物を引き渡す際に、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付しなければならないと定めています。マニフェストには廃棄物の種類・数量・運搬受託者の氏名等を記載し、廃棄物の引渡しと同時に交付します。電子マニフェストを使用する場合は、引渡し後の所定の期間内に情報処理センターへの登録が必要です。

 マニフェストの写しが法定期間内に返送されない場合は、廃棄物の運搬状況を速やかに確認し、適切な措置を講じなければなりません(同条第8項)。

再委託は原則禁止

 廃棄物処理法第14条第16項は、収集運搬業者が収集運搬を他人に委託すること(再委託)を原則として禁止しています。排出事業者が委託した業者が無断で別の業者に廃棄物を転送するケースは違法となります。ただし、同条ただし書が定める政令基準に従い、排出事業者が書面で承諾した場合には、例外的に一度に限り再委託が認められます。委託先が再委託を行う可能性がある場合は、事前に確認しておくことが重要です。

委託後も処理状況を確認する

 廃棄物処理法第12条第7項は、委託した廃棄物の処理状況について確認を行い、最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めることを排出事業者に求めています。収集運搬の委託はあくまでその入口にすぎません。委託先の処理施設の状況把握や、定期的な実地確認といった取り組みが、不適正処理の防止につながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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