産業廃棄物処理業の許可を取得した後も、事業者は欠格要件への該当がないかを継続的に確認する必要があります。許可取得時だけでなく、許可後に欠格要件へ該当した場合にも、法律上の義務が発生するからです。役員の変更や刑事事件への関与など、事業運営のなかで生じるさまざまな事情が、気づかないうちに許可の根拠を揺るがすことがあります。

欠格要件に該当した場合の届出義務

 廃棄物処理法第14条の2第3項(同法第14条の5第3項において準用)は、産業廃棄物収集運搬業者または処分業者が欠格要件に該当するに至った場合、2週間以内に都道府県知事へ届け出なければならないと定めています。この届出義務は、申請者本人だけでなく、法人の役員や政令で定める使用人が欠格事由に該当した場合にも適用されます。届出を怠った場合には、それ自体が法令違反となるため注意が必要です。

許可の必要的取消とは

 欠格要件への該当が確認された場合、都道府県知事は許可を取り消さなければなりません。廃棄物処理法第14条の3の2は、欠格要件に該当するに至ったときは許可を取り消さなければならないと規定しており、行政庁に裁量の余地はありません。つまり、欠格要件への該当が判明した時点で、行政庁は取消処分を行うことが法律上義務付けられています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条の3の2第1項
「都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が…第14条第5項第2号イからヘまでのいずれかに該当するに至ったときは、その許可を取り消さなければならない。」

役員・使用人の行為が会社全体に影響する

 法人として許可を受けている場合、代表者だけでなく取締役・執行役などの役員、および政令で定める使用人(支店長・事業所長など契約締結権限を持つ者)が欠格事由に該当した場合にも、法人全体の許可取消の対象となります。

 たとえば、役員が交通事故で拘禁刑(旧:禁錮刑)に処せられた場合、廃棄物処理法違反で罰金刑を受けた場合、または傷害・暴行・脅迫・背任などの刑法各条の罪で罰金刑を受けた場合がこれに当たります。業務と直接関係のない私的な事件であっても、欠格要件に該当する刑に処せられれば取消処分の対象となる点に注意が必要です。

許可取消後の5年間制限

 許可を取り消された者は、その取消しの日から5年間、新たに許可を受けることができません。また、取消処分に係る聴聞通知日の前60日以内に役員であった者も、同様に5年間の制限を受けます。これは、取消処分を見越して事前に役員を交代させるなどの回避行為を防ぐための規定です。役員の退任タイミングによっては、退任後の者にも制限が及ぶ場合があります。

実務上の対応ポイント

 欠格要件の確認は申請時だけでなく、許可取得後も継続して行うことが求められます。役員に人事異動があった場合や、役員・使用人が刑事事件に関与した場合には、速やかに欠格要件への該当可否を確認する必要があります。該当する場合は2週間以内の届出が義務付けられており、この期限を守ることが法令遵守の観点からも重要です。日常的なコンプライアンス管理の一環として、欠格要件のチェック体制を整えておくことが事業継続の基盤となります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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