
産業廃棄物の処理を委託する際、排出事業者はどのような基準で委託先を選べばよいのだろうか。廃棄物処理法は、排出事業者に対して委託先の適正性を確認する責任を課している(法第12条第7項)。しかし、「許可を持っていれば問題ない」と考えるだけでは十分ではない。優良産廃処理業者認定制度は、通常の許可基準よりも高い水準をクリアした業者を都道府県・政令市が認定する制度であり、排出事業者にとっても委託先選定の重要な判断基準となりうる。
優良認定とはどのような制度か
優良産廃処理業者認定制度は、廃棄物処理法に基づき、通常の許可基準よりも厳しい「優良基準」を満たした処理業者を都道府県知事等が認定する制度である。認定を受けた業者の許可証には、その旨が記載される。また、通常は5年ごとに更新が必要な許可(法第14条第2項・施行令で定める期間)が、優良認定業者については政令の規定により7年に延長される特例が付与される。
認定を受けるためには、次の5つの基準すべてに適合することが求められる。第一に遵法性(過去一定期間に許可取消や停止命令等の特定不利益処分を受けていないこと)、第二に事業の透明性(法令で定められた情報をインターネット上で継続して公表・更新していること)、第三に環境配慮の取組(ISO14001やエコアクション21等の環境マネジメントシステムの認証取得)、第四に電子マニフェストの使用(電子情報処理組織を活用した廃棄物管理)、第五に財務体質の健全性(一定水準の財務状況を維持していること)である。
排出事業者にとってのメリット
優良認定業者に委託することで、排出事業者はいくつかの実務上の利点を得ることができる。
まず、委託先の適正性確認が容易になる点が挙げられる。優良認定業者はインターネット上で許可証の写しや処理施設の能力・維持管理状況など詳細な情報を公表していることが認定基準の一つとなっている。排出事業者は、通常であれば委託先に許可証の写しを求めて確認するだけにとどまるが、優良認定業者の場合はより広範な情報をオンラインで確認できるため、事前調査の負担が軽減される。
次に、処理の信頼性が相対的に高い点がある。優良認定を受けるためには、過去の許可期間中に法令違反による不利益処分を受けていないことが前提条件となる。また、財務体質の健全性も審査されるため、経営基盤の安定した業者であることが一定程度担保されている。廃棄物の不適正処理リスクを少しでも低減したいと考える排出事業者にとって、優良認定の有無は一つの目安となる。
さらに、電子マニフェストの活用が前提となっている点も見逃せない。優良基準では電子マニフェストの使用が求められており、紙マニフェストに比べてデータ管理の正確性や追跡可能性が高い。排出事業者の廃棄物管理体制の強化にもつながりやすい。
委託先選定における留意点
優良認定はあくまで認定時点における基準への適合を示すものであり、認定後の業務実態を保証するものではない。また、優良認定を受けていない業者が不適切であることを意味するわけでもなく、認定制度への申請を行っていないだけで実務的に高水準の業者も存在する。
排出事業者としては、優良認定の有無を参考にしつつも、許可証の確認、委託契約の適正な締結(法第12条第6項・施行令第6条の2)、処理状況の把握(法第12条第7項)といった基本的な委託管理をきちんと行うことが引き続き重要である。委託先の選定は、単一の指標だけで判断するのではなく、複数の観点から総合的に評価することが望ましい。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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