産業廃棄物の処理を外部に委託する際、排出事業者は法令で定められた「委託基準」に従わなければならない。この委託基準に違反した場合、廃棄物処理法は刑事罰を含む厳しい制裁を設けている。本記事では、委託基準違反の類型と、それに対応する罰則の体系を整理する。

委託基準の法的根拠

 廃棄物処理法第12条第5項は、産業廃棄物の運搬または処分を他人に委託する場合、収集運搬については産業廃棄物収集運搬業の許可業者に、処分については産業廃棄物処分業の許可業者にそれぞれ委託しなければならないと定めている。さらに同条第6項は、委託にあたって政令(施行令第6条の2)が定める基準に従うことを義務づけている。この政令基準には、書面による契約の締結、法定記載事項の記載、委託先の事業範囲内での委託などが含まれる。

違反類型① 無許可業者への委託(第12条第5項違反)

 収集運搬業または処分業の許可を持たない者に委託した場合は、第12条第5項に違反する。この場合の罰則は第25条第6号に定められており、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科が科される。

 この法定刑は不法投棄と同水準であり、廃棄物処理法の中でも最も重い部類に属する。委託元の排出事業者に直接適用される点も重要である。処理を他者に任せたとしても、委託先の許可の有無を確認する義務は排出事業者が負う。

違反類型② 書面不備・事業範囲逸脱(第12条第6項違反)

 許可を持つ業者に委託していても、政令基準を満たさない方法で委託した場合は第12条第6項に違反する。具体的には、書面による委託契約を締結していない場合、契約書に廃棄物の種類・数量・処理方法・最終処分先などの法定記載事項が欠けている場合、または委託先の許可の事業範囲を超えた品目・地域での委託が該当する。この場合の罰則は第26条第1号であり、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科が科される。

両罰規定の適用

 第25条・第26条のいずれにも両罰規定(第32条)が設けられている。違反行為を行った担当者個人だけでなく、法人(会社)にも同額の罰金が科される。担当者の確認不足が組織全体の刑事責任に直結するという構造は、実務上のリスクとして常に意識しておく必要がある。

「許可証を確認した」だけでは足りない

 よく見られる誤解として、委託先が許可を持っていれば違法にならないという認識がある。しかし許可業者への委託であっても、契約書の法定記載事項が欠けていれば第26条の罰則対象となる。また、委託する廃棄物の種類が委託先の許可品目に含まれない場合も、同様に違反が成立する。許可証の確認は委託基準の出発点にすぎず、書面契約の整備・記載内容の確認・許可品目との一致確認まで一体的に管理することが求められる。

まとめ

 委託基準違反には、無許可業者への委託(第25条・最高5年の拘禁刑)と、書面不備・事業範囲逸脱などの手続き違反(第26条・最高3年の拘禁刑)という二層の罰則体系がある。適正な委託の実現には、許可の確認にとどまらず、書面契約の整備と法定記載事項の充足を継続的に管理することが不可欠である。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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