産業廃棄物の処理を外部の業者に委託する場合、排出事業者は処理費用を負担する義務を負う。この費用をどのような形で、いつ、誰に支払うかは、廃棄物処理法の委託基準とも密接に関わる実務上の重要なポイントである。

処理費用は委託契約書への記載が必要

 廃棄物処理法施行令第6条の2第4号は、委託契約書に記載すべき事項を定めており、同号ヘに基づく施行規則第8条の4の2では「委託料金」が法定記載事項の一つとして規定されている。単に口頭で合意するのではなく、書面の契約書に金額や算出方法を明記することが法令上の要件となっている。

 記載が抽象的であったり、実態と一致しない場合は、形式的に契約書を作成していても適正とはいえない。法定記載事項が欠如している場合は委託基準違反として罰則が適用されるため、契約書の内容を定期的に確認することが重要である。

収集運搬業者と処分業者へは個別に支払う

 廃棄物処理法では、収集運搬と処分は原則として別々の業者とそれぞれ個別に二者契約を締結することが求められている。これは、金銭の流れを透明にし、それぞれの業者に適正な料金を直接支払うことを目的としたものである(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「産廃知識 委託契約」参照)。

 一方の業者に一括で支払い、他方への費用を間接的に流す構造は、責任の所在を不明確にするリスクがある。なお、収集運搬業と処分業の両方の許可を持つ業者に一括委託する場合には、契約書を1本にまとめることも認められている。

支払い時期と実務上のリスク管理

 処理費用の支払い時期については、廃棄物処理法に明文の定めはない。ただし、実務上の観点からは注意が必要である。処理が完了する前に全額を前払いしてしまうと、処理業者が倒産・廃業した場合や、処理が適切に行われなかった場合でも費用を回収できないリスクがある。

 マニフェスト(産業廃棄物管理票)の返送によって最終処分の完了を確認することは排出事業者の義務であり、処理の実態把握と支払い管理を連動させることは、リスク管理上も合理的といえる。契約書において支払い条件を明確に定めておくことが望ましい。

不当に低い処理費用は措置命令のリスクをもたらす

 環境省通知(環廃産発第1706201号、平成29年6月20日)では、地域における一般的な処理料金の半値程度またはそれを下回るような料金で処理を委託している排出事業者は、合理性を示すことができなければ「適正な対価を負担していない」とみなされると示されている。

 この場合、廃棄物処理法第19条の6に基づく措置命令の対象となりうる。東京都環境局も、法第12条第7項の注意義務の具体例として「適正な処理に必要な処理料金を負担すること」を明示しており、費用を極端に抑えることは排出事業者自身へのリスクにつながる。

支払先・金額・条件を契約書で明確に

 産業廃棄物の処理費用は、誰に・いくらを・どのような条件で支払うかを、委託契約書に明確に定めることが基本である。形式的な記載では不十分であり、実態と一致した内容となっているかを定期的に確認することが重要である。

 処理費用の管理は、単なるコスト管理にとどまらず、適正処理体制を維持し、排出事業者としての責任を果たすための重要な要素といえる。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
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吉田哲朗
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