
産業廃棄物の処理を外部に委託する際、排出事業者は書面による処理委託契約書を締結しなければならない。廃棄物処理法第12条第6項は、政令で定める基準(委託基準)に従うことを義務づけており、この基準の中核をなすのが契約書の記載事項に関するルールである。
記載すべき事項は、廃棄物処理法施行令第6条の2第4号および同法施行規則第8条の4の2に具体的に定められている。記載事項の一部でも欠けていれば委託基準違反となり、罰則が適用されるおそれがある。記載事項の全体像を正確に把握しておくことが、適正処理体制の構築において不可欠となる。
収集運搬および処分に共通する記載事項
施行令第6条の2第4号は、委託契約書に含まれるべき事項として委託する産業廃棄物の種類および数量を列挙している。さらに施行規則第8条の4の2には、委託契約の有効期間(第1号)および委託者が受託者に支払う料金(第2号)をはじめとする詳細な記載事項が定められている。これらは、いずれの契約形態においても必須の記載事項である。
加えて、施行規則第8条の4の2第6号に基づき、廃棄物の適正処理に必要な情報の提供も求められる。廃棄物の性状・荷姿に関する情報、石綿含有産業廃棄物・水銀使用製品産業廃棄物・水銀含有ばいじん等への該非情報、取り扱い上の注意事項などがこれに含まれる。
収集運搬を委託する場合の固有の記載事項
収集運搬を委託する場合には、共通事項に加え、収集運搬の最終目的地の所在地を記載しなければならない(施行令第6条の2第4号ロ)。積替えまたは保管を行う場合は、その場所の所在地、保管できる廃棄物の種類、保管場所での積み上げ高さの限度についても記載が必要となる。
また、受託者(収集運搬業者)の産業廃棄物収集運搬業許可証の写しを添付することが義務づけられている(施行規則第8条の4)。許可証の写しがなければ、契約書の要件を満たさないと判断されるため注意を要する。
処分を委託する場合の固有の記載事項
処分(中間処理・最終処分・再生)を委託する場合には、処分または再生の場所の所在地・方法・施設の処理能力を記載しなければならない(施行令第6条の2第4号ハ)。排出事業者は処理の最終段階まで責任を負うため、最終処分先を契約書上で明確にしておくことが求められる。
中間処理業者が二次委託を行うケースでは、契約締結時点で最終処分先が未確定のこともある。その場合でも、想定される処分先を特定して記載することが適正な対応とされている。処分業者の許可証の写しの添付も同様に義務づけられている。
再委託に関する事項
廃棄物処理法は、処理業者による再委託を原則として禁止している。ただし、排出事業者があらかじめ書面で承諾した場合に限り例外的に認められることがある。再委託の可否および承諾の範囲を契約上で明確にしておく必要がある。
2026年1月施行の改正による追加記載事項
廃棄物処理法施行規則が令和7年4月22日に改正(環境省令第15号)され、2026年1月1日から施行された。この改正では、PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)に基づく届出を行っている排出事業者に対し、委託契約書への追加記載が義務づけられた。
具体的には、委託者が第一種指定化学物質等取扱事業者に該当し、かつ委託する産業廃棄物に第一種指定化学物質が含まれまたは付着している場合には、その旨ならびに当該物質の名称および量または割合を契約書に記載しなければならない(施行規則第8条の4の2第6号ヘ)。なお、既に締結済みの契約については、次回の契約更新までの間は従前の記載のままで差し支えない(改正省令附則第2条)。
記載内容の実態との整合性
委託契約書は、形式的に法定事項を列挙するだけでは不十分である。廃棄物の種類・処分方法などの記載が抽象的であったり、実際の処理実態と乖離していたりする場合、適正な契約とはみなされない可能性がある。行政による立入検査では契約書の内容と実際の運用の整合性が確認されることから、日常的な内容の見直しが重要となる。委託契約書は排出事業者責任を具体化する書面であり、法定記載事項を正確に網羅したうえで実態に即した内容で締結・管理することが求められる。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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