産業廃棄物の処理を第三者に委託する場合、排出事業者はどのような基準に従う必要があるのか。廃棄物処理法第12条第5項および第6項は、この点について明確なルールを定めている。実務担当者が押さえておくべき委託基準の骨格を整理する。

委託先は許可業者に限られる(第12条第5項)

 廃棄物処理法第12条第5項は、産業廃棄物の運搬を委託する場合は産業廃棄物収集運搬業者に、処分を委託する場合は産業廃棄物処分業者にそれぞれ委託しなければならないと定めている。許可を持たない業者への委託は、この規定に直接違反するものであり、委託した排出事業者も法的な責任を問われる。なお、古紙・くず鉄等を専門に取り扱う再生業者、産業廃棄物処理を事務として行う都道府県・市町村、環境大臣の認定を受けた業者など、施行規則で定める者も委託先として認められている。

 重要なのは、許可の有無だけでなく、許可の事業範囲との一致を確認することである。たとえば、収集運搬の許可を持つ業者であっても、委託しようとする廃棄物の種類や、積替保管の有無が許可の範囲に含まれていなければ、適法な委託とはならない。排出事業者は委託前に許可証の写しの提出を求め、許可内容と委託内容の整合性を精査したうえで契約を締結する必要がある。

委託に際して従うべき基準(第12条第6項)

 第12条第6項は、第5項による委託を行う場合には、政令で定める基準(施行令第6条の2)に従わなければならないと定めている。施行令第6条の2が定める主な委託基準の内容は次のとおりである。

 第一に、収集運搬と処分はそれぞれ別々の業者と個別に書面で契約を締結しなければならない(2者契約の原則)。ただし、同一の業者が収集運搬・処分の両方の許可を有している場合は、一本の契約書にまとめることができる。三者間で一括して契約を結ぶ、いわゆる「三者契約」は委託基準違反となる点に注意が必要である。第二に、委託契約書には法定の記載事項が網羅されていなければならず、許可証の写しを添付する義務がある。法定記載事項の詳細は施行規則第8条の4の2に規定されており、委託する廃棄物の種類・数量・有効期間・処理料金・最終処分の場所等がこれに含まれる。記載が抽象的であったり実態と一致していない場合には、形式的に契約書を作成していたとしても適正とはみなされない。第三に、委託契約書は契約終了の日から5年間保存しなければならない(施行令第6条の2第5号)。

委託後の確認義務(第12条第7項)

 委託基準を遵守して契約を締結した後も、排出事業者の責任は終わらない。第12条第7項は、委託後においても廃棄物の処理状況を確認し、発生から最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないと定めている。処理施設の実地確認や、優良産廃処理業者認定制度を活用した業者選定が、その具体的な手段として挙げられる。

委託基準違反の法的帰結

 委託基準に違反した場合、排出事業者は行政上の措置命令(第19条の5)の対象となりうるほか、刑事罰が科されるリスクがある。書面による契約を締結せずに委託した場合など、施行令第6条の2の委託基準に違反した行為については、第26条第1号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められている。また、無許可業者への委託は、より重い第25条第1項第6号(5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金)の対象となる。委託する側の事業者であっても、基準の不遵守が重大な法的責任に直結することを認識しておく必要がある。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
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