廃棄物処理法において、産業廃棄物の収集・運搬・処分を業として行う場合は、都道府県知事(または政令市長)の許可を取得することが原則である。しかし法は、一定の条件を満たす処理について、環境大臣の認定を受けることで都道府県知事許可に代えることができる特例を設けている。これが無害化処理認定制度であり、廃棄物処理法第3章第6節「産業廃棄物の処理に係る特例」に根拠を置く制度である。

1 根拠条文と制度の位置づけ

 無害化処理認定の根拠は、廃棄物処理法第15条の4の4に置かれている。同条は、再生利用認定(第15条の4の2)・広域処理認定(第15条の4の3)と並ぶ環境大臣認定制度の一つである。認定を受けた者(以下「認定業者」という)は、第14条第1項・第6項の規定にかかわらず、都道府県知事の許可を受けないで当該認定に係る収集・運搬・処分を業として行うことができる。許可制度の例外として位置づけられる制度であるため、その要件や法的効果を正確に理解しておく必要がある。

2 対象となる廃棄物

 無害化処理認定の対象となるのは、石綿が含まれている産業廃棄物その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する産業廃棄物として環境省令で定めるものである。現行制度における主な対象は、廃石綿等・石綿含有産業廃棄物(いわゆるアスベスト廃棄物)および低濃度PCB廃棄物である。廃石綿等の中間処理については、溶融施設による溶融または無害化処理の方法によることが施行令第6条の5第1項第2号トで定められており、認定を受けた業者が高度な技術を用いて石綿を無害化する処理がその典型例となる。

3 認定の要件と手続

 認定を受けようとする者は環境大臣に申請を行い、次の各号に適合していることが認められる場合に認定を受けることができる。第一に、当該無害化処理が「人の健康の保護及び生活環境の保全に資する廃棄物の処理の方法として環境省令で定めるもの」に適合していること。第二に、処理施設および申請者の能力が、当該処理を的確かつ継続して実施するに足りる基準に適合していること。第三に、申請者が欠格要件に該当しないことである。要件審査は環境大臣が行い、都道府県単位ではなく全国一元的な認定体制が採られている点が特徴である。

4 認定業者の法的地位

 認定を受けた者は、産業廃棄物処理業者と同等の義務を負う。処理の受託禁止・再委託の禁止等に関する規定が準用されるほか、報告徴収・立入検査の対象ともなる。また、認定の効力が及ぶ範囲は認定内容に限定されるため、認定証に記載されていない廃棄物の種類・処理方法・施設については引き続き都道府県知事許可が必要となる点に注意が必要である。

5 排出事業者側の実務上の確認事項

 廃石綿等や石綿含有産業廃棄物・低濃度PCB廃棄物を排出する事業者が無害化処理認定業者に処理を委託する場合、委託契約書には認定証の写しを添付することとされている。環境大臣認定業者は都道府県知事許可証を持たないため、許可証の有無だけで委託先の適法性を判断することは適切でない。認定証の有無・有効期間・認定内容の範囲を確認したうえで委託先を選定することが実務上求められる。無害化処理認定制度は、高度な技術を用いて有害廃棄物を適正に処理できる業者を全国規模で活用するための仕組みである。排出事業者としては、許可証の確認とあわせて認定証の確認という視点を持っておくことが肝要である。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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