産業廃棄物を収集・運搬する事業者は、廃棄物処理法第12条第1項に基づき、政令で定める処理基準を遵守しなければならない。この基準を定めているのが廃棄物処理法施行令第6条第1項第1号であり、収集運搬の場面ごとに具体的な遵守事項が規定されている。なお、この処理基準は収集運搬業者だけでなく、自ら産業廃棄物を運搬する排出事業者にも適用される点に留意が必要である。

1. 飛散・流出・悪臭防止

 収集運搬にあたっては、廃棄物が飛散・流出しないようにすること、悪臭・騒音・振動によって生活環境の保全上支障が生じないよう必要な措置を講じることが求められる(施行令第6条第1項第1号→同令第3条第1号イ準用)。運搬車両・運搬容器・運搬用パイプラインは、飛散・流出・悪臭の漏れがない構造のものを使用しなければならない(同令第3条第1号ハ準用)。

2. 車両の表示義務と書面の備え付け

 運搬車の車体外側には、「産業廃棄物の収集又は運搬の用に供する運搬車」である旨その他の事項を、環境省令で定めるところにより見やすく表示しなければならない。あわせて、許可証の写しおよびマニフェスト等の書面を備え付けておく必要がある(施行令第6条第1項第1号イ)。この表示義務は排出事業者が自社運搬を行う場合にも適用される。無表示のまま運搬することは処理基準違反となる。

3. 石綿含有産業廃棄物に係る個別基準

 石綿含有産業廃棄物を収集運搬する場合には、破砕することのない方法により運搬し、かつ他の廃棄物と混合するおそれのないよう区分しなければならない(施行令第6条第1項第1号ロ→同令第3条第1号ホ準用)。石綿は飛散すると重大な健康被害を引き起こすため、通常の産業廃棄物とは厳格に区分して管理することが求められる。なお、積込みの際にやむを得ず破砕・切断が必要な場合は、散水等で十分に湿潤化した上で必要最小限にとどめることが認められている。

4. 積替えを行う場合の基準

 積替えを伴う収集運搬を行う場合には、積替えの場所に周囲の囲いを設け、「産業廃棄物の積替えの場所」である旨を表示しなければならない。また、飛散・流出・地下浸透・悪臭の防止措置および害虫の発生防止措置を講じる必要がある(施行令第6条第1項第1号ハ→同令第3条第1号ヘ準用)。石綿含有産業廃棄物の積替えを行う場合には、さらに他のものと混合しないよう仕切りを設ける等の措置が必要である(同号ニ→同令第3条第1号ト準用)。

5. 積替え保管の数量上限

 積替えのために保管を行う場合には、保管する産業廃棄物の数量が、当該保管の場所における1日あたりの平均的な搬出量に7を乗じて得られる数量を超えないようにしなければならない(施行令第6条第1項第1号ホ)。これはおおむね7日分に相当する量であり、廃棄物の長期滞留を防ぐための規定である。保管はあくまでも次の運搬先への引渡しに備えた一時的な措置であり、廃棄物の性状が変化しないうちに搬出することが求められる。

6. 処理基準違反の効果

 処理基準に違反した場合、都道府県知事等は改善命令や業務停止命令を発することができ、悪質な場合には許可の取消しにもつながりうる。また、廃棄物処理法第25条等の罰則規定の対象ともなる。収集運搬業者にとって、処理基準の遵守は許可を維持するうえでの最低条件である。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
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