中間処理施設を運営していると、「搬入量が増えてきたが、どこまで保管してよいのか」と迷う場面があります。受け入れを続けてしまい、知らないうちに法定の上限を超えていた、というケースも実務では見られます。ここでは、廃棄物処理法が定める中間処理のための保管上限について整理します。

保管上限が設けられている理由

 産業廃棄物の中間処理に当たり廃棄物を保管する場合、処理前の廃棄物は処理施設の能力を超えて際限なく受け入れることはできません。過大な保管は廃棄物の散乱・悪臭・地下水汚染など生活環境への支障を生じさせるおそれがあり、不法投棄の温床にもなり得ます。そのため、法令は保管上限を明確に定めています。根拠は廃棄物処理法施行令第6条・施行規則第8条です。

保管上限の原則

 原則は、1日の処理能力の14日分です。ただし、この上限が適用されるのは建設業に係る工作物の新築・改築または除去に伴って生じた産業廃棄物廃タイヤです。製造業由来の汚泥や廃プラスチックなど、これら以外の廃棄物については法令上の保管数量の上限規制は原則として適用されません。なお「処理能力」とは、施設設置許可を要する施設ではその許可された処理能力、それ以外では定格標準処理能力をいいます。

再生を行う処理施設の特例

 14日分という原則に対して、建設業に係る廃棄物のうち再生を行う処理施設において再生のために保管する場合には、保管上限が引き上げられる特例があります。

 コンクリートの破片(建設業に係る分別品)については、再生骨材として再生する施設において再生のために保管する場合に限り、1日の処理能力の28日分まで保管できます。

 アスファルト・コンクリートの破片(建設業に係る分別品)については、アスファルト骨材に再生する施設において再生のために保管する場合に限り、1日の処理能力の70日分まで保管できます。この特例は、受け入れから再生完了まで一定の時間がかかることを考慮したものです。なお、再生対象とならない廃棄物の保管には原則どおり14日分が適用されます。

複数種類を扱う場合の計算

 複数の種類の産業廃棄物を処理する施設で、廃棄物の種類ごとに複数の保管場所を設けている場合、各保管場所の保管数量の合計が全体の保管上限となります。個別の保管場所ごとに判断するのではなく、施設全体でトータルの保管量を管理することが必要です。

積み上げ高さの制限も別途かかる

 保管上限(数量)とは別に、屋外で容器に入れずに保管する場合には積み上げ高さの制限もあります。廃棄物が囲いに接しない場合は囲いの下端から勾配50%以下、囲いに接する場合は囲いの内側2m・高さより50cm以下(2m以上内側は2m線から勾配50%以下)です。数量が上限内であっても、高さが規定を超えれば違反となるため注意が必要です。

積替え保管の上限とは別物

 なお、収集運搬業者が行う積替えのための保管については中間処理とは別に「1日当たりの平均的な搬出量の7日分」という上限が設けられています(施行規則第8条)。中間処理施設の原則(14日分)や特例(28日分・70日分)とは根拠も計算方法も異なりますので、混同しないよう注意してください。

保管上限超過の実務上のリスク

 保管上限を超えた状態が続くと、都道府県等から改善指導・措置命令の対象となる可能性があります。また、処理困難通知の対象となる事由として「保管上限到達」が明示されており、排出事業者への通知義務も生じます。日常的な搬入量・搬出量・在庫量の記録管理を徹底し、保管量が上限に近づいていないかを定期的に確認することが、安定した施設運営につながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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