解体工事や改修工事の現場では、石綿(アスベスト)を含む廃棄物が発生することがあります。ひとくちに「石綿を含む廃棄物」といっても、廃棄物処理法上は廃石綿等(特別管理産業廃棄物)と石綿含有産業廃棄物(普通の産業廃棄物)の二種類に分かれており、それぞれに異なる処理基準が適用されます。現場でどちらに該当するかを正しく判断し、基準どおりに取り扱うことが法令遵守の第一歩です。

二種類の違いをおさえる

 廃石綿等とは、石綿建材除去事業によって除去された吹付け石綿・石綿保温材・けいそう土保温材・パーライト保温材などのほか、これらと同等以上に石綿が飛散するおそれのある保温材・断熱材・耐火被覆材、および除去作業で使用されて廃棄されたシート・防じんマスク・作業衣などが該当します(施行規則第1条の2第9項)。飛散性が高いため特別管理産業廃棄物に位置づけられています。

 一方、石綿含有産業廃棄物とは、工作物の新築・改築・除去に伴って生じた産業廃棄物であって、廃石綿等には含まれないもののうち、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するものをいいます(施行規則第7条の2の3)。スレート板・サイディング・ビニル床タイル(Pタイル)などが代表例で、こちらは普通の産業廃棄物として扱われます。

保管基準の違い

 廃石綿等を保管する場合は、特別管理産業廃棄物の保管基準が適用されます。囲いの設置・掲示板の設置は通常の産業廃棄物と共通ですが、それに加えて飛散・流出・地下浸透の防止に必要な措置を講じなければなりません(施行令第6条の5第1項第1号)。石綿含有産業廃棄物を保管するときは、保管場所の掲示板に「石綿含有産業廃棄物を含む旨」を明記することが求められます。

収集運搬基準の違い

 廃石綿等を収集運搬する場合は、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が別途必要です。運搬にあたっては、飛散・流出しないよう必要な措置を講じ、他の廃棄物と混合しないように区分して収集・運搬しなければなりません(施行令第6条の5第1項第1号)。

 石綿含有産業廃棄物を収集運搬する場合は、普通の産業廃棄物収集運搬業許可(石綿含有産業廃棄物の取扱いを含む)で対応できますが、破砕しない方法で梱包またはシートがけを行い、他の廃棄物と混合しないよう区分して運搬することが求められます(施行令第6条第1項第1号ロで準用)。やむを得ず切断等が必要な場合は、十分に湿潤化したうえで最小限にとどめます。

中間処理・最終処分基準の違い

 廃石綿等の最終処分は埋立処分に限られ、埋立前にあらかじめ固型化・薬剤による安定化等の措置を講じ、耐水性の材料で二重に梱包したうえで、許可を受けた最終処分場の一定の場所において廃棄物が分散しないよう行い、表面を土砂で覆う等の措置が必要です(施行令第6条の5第1項第3号ル、第7条第14号)。中間処理は、環境大臣が定める方法(溶融等)によることが定められています。

 石綿含有産業廃棄物の中間処理は、溶融施設を用いた溶融または無害化処理に限られます(施行令第6条第1項第2号ニ、平成18年環境省告示第102号第2条)。それ以外の方法(破砕など)による中間処理は原則禁止されており、溶融等を行わない場合はそのまま最終処分場で埋立処分することになります。最終処分場の種別は廃棄物の品目に応じて安定型・管理型のいずれかが選択されます。

委託契約書とマニフェストへの反映

 石綿含有産業廃棄物の処理を委託する場合は、委託契約書に石綿含有産業廃棄物が含まれる旨を明記しなければなりません。マニフェストの品目欄に「石綿含有産業廃棄物を含む」と記載することも実務上求められます。廃石綿等については特別管理産業廃棄物のマニフェスト(特管マニフェスト)を使用する必要があります。

 廃石綿等と石綿含有産業廃棄物は、見た目だけでは判断が難しい場面もあります。区分を誤れば処理基準違反となり、排出事業者責任が問われることもあります。工事着手前に材料の種別・レベルを確認し、適切な区分と処理方法を選択することが、現場と事業を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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