産業廃棄物の処理を業者に委託した後、「あとは任せた」では済まない――そう感じている実務担当者は多いのではないでしょうか。廃棄物処理法は、排出事業者に対して委託後も処理の状況を確認し、適正処理のために必要な措置を講ずることを求めています。ここでは、いわゆる「施設確認」をめぐる法令上の根拠と実務上の対応について整理します。

根拠条文:第12条第7項の「努力義務」

 施設確認の根拠は、廃棄物処理法第12条第7項です。同項は次のように定めています。

事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

 条文の文言は「努めなければならない」という努力義務の形式をとっています。しかし、この努力義務を軽視することはできません。不適正処理が発覚した場合、確認を怠っていた排出事業者は措置命令(法第19条の6)の対象となり得るからです。環境省も「委託していれば責任を免れるわけではない」と繰り返し注意喚起しています。排出事業者責任は、委託後も引き続き排出事業者に帰属する点を改めて認識しておく必要があります。

「確認」の具体的な方法

 では、どのように確認すればよいのでしょうか。平成23年2月の環境省通知(環廃対発第110204005号・環廃産発第110204002号)は、その方法として次の二つを例示しています。

 第一は、委託先の処理施設を実地で確認する方法です。施設が使用可能な状態にあるか、最終処分場の残余容量に余裕があるか、許可の範囲で処理が行われているかといった点を、担当者が現地に赴いて確認します。これが最も確実な確認方法とされてきました。

 第二は、優良認定業者のホームページ等による間接確認です。優良産廃処理業者認定制度を取得している業者は、施設の維持管理状況や処理実績をウェブ上で公開しています。この情報を活用することで、実地に赴かずとも適正処理を間接的に確認できる、とされています。

自治体の上乗せ規制にも注意

 廃棄物処理法上の根拠は努力義務にとどまりますが、都道府県・政令市の条例や指導要綱によって、現地確認の実施や報告書の提出を義務づけている自治体が多数存在します。ある調査によれば、70を超える自治体が何らかの義務づけを行っているとの報告もあります。委託先の処理施設がある自治体のルールを個別に確認することが必要です。なお、都道府県が「義務あり」としていても、同じ県内の政令市が同様の取扱いをするとは限らないため、注意が必要です。

措置命令リスクと実務上のポイント

 確認を怠った場合のリスクは法的措置だけにとどまりません。社名公表によるレピュテーションリスクも現実の問題です。実務対応としては、①委託契約締結前に許可証・施設情報を照合する、②定期的(年1回程度)に施設を実地確認または書面確認する、③マニフェストの返送遅延がないか都度チェックする、といった仕組みを社内に整備しておくことが重要です。

 「処理は委託すれば終わり」という認識は、廃棄物処理法のもとでは通用しません。委託後も適正処理の確認を継続的に行う体制を構築することが、排出事業者としての責任を果たすことにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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