
「リサイクルに回すから、廃棄物処理の許可業者に頼まなくてもいい」「再生利用するなら委託契約もマニフェストも不要だ」――こうした誤解が現場で広がることがあります。しかし、廃棄物処理法の仕組みを正しく理解すると、リサイクル目的であっても法の義務は原則として免除されないことがわかります。ここでは、実務担当者が押さえておきたい基本的な考え方を整理します。
廃棄物かどうかが先に問われる
まず前提として確認したいのは、「廃棄物に該当するかどうか」という点です。法においては、ある物が廃棄物かどうかは、有償で売買できる「有価物」に当たるかどうか(いわゆる総合判断説)によって判断されます。金属スクラップや古紙など、市場で実際に売買されている物は有価物と判断されることがあり、その場合は廃棄物処理法の規制対象から外れます。しかし、処理費用を支払って業者に引き渡す物は、リサイクルに使われると説明されていても廃棄物と判断されることが多く、法の適用を受けます。
廃棄物と判断された場合は法の義務がそのまま適用される
廃棄物に該当すると判断された場合、それをリサイクルに利用する目的があっても、法第11条第1項が定める排出事業者責任は変わりません。排出事業者は自らの廃棄物を適正に処理する責任を負い、自ら処理できない場合は都道府県知事の許可を受けた処理業者に委託しなければなりません(法第12条第5項)。委託にあたっては委託基準を満たした書面契約が必要であり、運搬時にはマニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付も義務です。「リサイクル業者に直接持ち込むから委託ではない」という解釈は成り立たず、第三者に処理を依頼する行為はすべて委託とみなされます。
「専ら物」は許可が不要だが、条件は厳しい
例外的な取り扱いとして知られるのが「専ら物」です。専ら再生利用の目的となる産業廃棄物(古紙・くず鉄・あきびん類・古繊維の4種類)を専門に取り扱う業者(専ら業者)に収集・運搬または処分を委託する場合、処理業の許可は不要とされています。ただし、これはあくまで「専ら業者」への委託に限られた特例であり、一般の産廃処理業者がリサイクルを行う場合には通常の許可が必要です。また、専ら物であっても委託基準(書面による委託契約)の適用は免除されない点にも注意が必要です。
再生利用認定制度・広域認定制度という選択肢もある
一定の要件を満たす廃棄物のリサイクルを推進するため、廃棄物処理法には再生利用認定制度や広域認定制度(法第15条の4の2)が設けられています。これらは環境大臣の認定を受けることで、通常の許可とは異なるルートで廃棄物を再生利用したり、全国規模で回収・処理したりすることを可能にする仕組みです。ただし、こうした認定を受けた事業者・制度を利用する場合でも、排出事業者側の確認義務や適正管理の責任がなくなるわけではありません。
「リサイクルするから大丈夫」は通用しない
廃棄物処理法が目指すのは、廃棄物の適正処理による生活環境の保全です。リサイクルへの活用は環境負荷の低減につながる望ましい取組みですが、廃棄物に該当する物を扱う以上、許可・委託基準・マニフェストという基本的な枠組みは維持されます。「リサイクルに出しているから問題ない」という感覚のまま運用していると、無許可委託(法第25条第1項第6号)や委託基準違反(法第26条第1項第1号)として行政指導・罰則の対象となるリスクがあります。リサイクルと法令遵守は両立できますし、両立しなければなりません。現場で判断に迷ったときは、早めに行政窓口や専門家に確認することをお勧めします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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