産業廃棄物収集運搬業の許可を取得したあと、「車両に何を貼ればいいのか」「文字の大きさに決まりはあるのか」と疑問を持つ担当者は少なくありません。許可証を手にして安心してしまいがちですが、実は許可取得後の車両表示は法令上の義務です。ここでは、表示義務の内容と実務上の注意点を整理します。

表示義務の根拠条文

 車両表示義務の根拠は、廃棄物処理法施行令第6条第1項第1号イおよび施行規則第7条の2の2第1項です。産業廃棄物を運搬する車両は、走行中に産廃を積んでいることが外部から識別できるよう、車体の両側面に鮮明な表示をしなければなりません。この義務は収集運搬業者だけでなく、排出事業者が自ら運搬する場合にも等しく適用されます。表示義務の目的は、不法投棄の防止と産廃事業者への監視強化にあります。

表示しなければならない3つの事項

 収集運搬業者が委託を受けて産業廃棄物を運搬する場合、車体の両側面に表示すべき内容は次の3つです。

① 「産業廃棄物収集運搬車」の文字
② 事業者名(氏名または名称)
③ 許可番号(下6けた)

 なお、排出事業者が自ら運搬する場合は③の許可番号の表示は不要で、①と②の表示で足ります。許可番号は11桁の数字で構成されますが、車両への表示は下6けたとされています。下6けたは許可業者ごとに付与される固有番号にあたり、行政が業者を特定できる最低限の情報として規定されています。

文字の大きさの規定

 表示が義務付けられているだけでなく、文字の大きさにも具体的な基準があります。「産業廃棄物収集運搬車」の文字は約5cm以上、事業者名および許可番号は約3cm以上で表示しなければなりません。手書きや小さなシールでの対応は基準を満たさず、違反となります。また、車体の色と対照的な色での表示が必要であり、積載物やシートで表示が隠れている状態も違反とみなされます。複数行に分けて表示することや縦書きでの表示も、上記の大きさの基準を満たしていれば認められています。

マグネットシートでの対応も可能

 社用車を産廃運搬以外の業務にも使う場合、マグネットシートやステッカーによる表示も認められています。ただし、走行中に外れたり第三者によって容易に取り外されたりしないよう、確実に取り付けることが必要です。また、複数の都道府県・政令市の許可を取得している場合は、それぞれの許可番号をすべて表示するか、各自治体の指導に従った対応をとりましょう。

書面の備え付け義務も忘れずに

 車両への表示とあわせて、運搬中は許可証の写しおよびマニフェストを車内に備え付ける義務があります(施行規則第7条の2第3項)。路上検査や立入検査の際に即座に提示できる状態にしておく必要があります。許可証の写しは有効期限内のものを使用し、更新のたびに車内書類を差し替えることを忘れないようにしましょう。

違反した場合の取り扱い

 表示義務を怠った場合、処理基準違反として行政庁から改善命令を受ける可能性があります。直罰規定は設けられていませんが、改善命令に従わなかった場合は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはその併科(法第26条)の対象となります。繰り返しの違反は許可の取消しにもつながりかねず、「少し表示が小さい程度」と軽く考えることは禁物です。

 許可番号の表示は、収集運搬業者としての姿勢を外部に示す最も基本的な行為です。車両の状態を定期的に確認し、表示の劣化や脱落がないかチェックする習慣をつけることが、事業の信頼と継続を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

申請なら産廃収集運搬申請特化の行政書士吉田哲朗事務所にお任せ下さい。
個人事業主、法人のお客様問わず、たくさんのお問合せを頂いております。
JWセンターの収集運搬過程終了の行政書士による講習試験アドバイス
経理的基礎である財務把握はもちろん、中小企業診断士とタイアップ
最短3日で申請!

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗