
エアコンや冷蔵庫などの家電製品を回収・運搬する機会は、収集運搬業者にとって珍しくありません。しかし、これらの品目には家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)という特別なルールが絡んでおり、「産廃許可があれば何でも運べる」と思い込むと、思わぬ法令違反につながることがあります。ここでは、産廃収集運搬業者が家電4品目を扱う際に押さえておきたいポイントを整理します。
家電4品目とは何か
家電リサイクル法の対象となる特定家庭用機器は、次の4品目です。
① エアコン(ユニット型)
② テレビ(ブラウン管式・液晶式・プラズマ式など)
③ 冷蔵庫・冷凍庫
④ 洗濯機・衣類乾燥機
これらが不要になったものを「特定家庭用機器廃棄物」と呼びます。廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当するため、収集・運搬には廃棄物処理法の処理基準が適用されます。
排出元によって「一般廃棄物」か「産業廃棄物」かが変わる
同じ冷蔵庫でも、家庭から出る場合は一般廃棄物、事業所(オフィス・店舗・工場など)から出る場合は産業廃棄物に区分されます。収集運搬業者にとって重要なのは、この区分によって必要な許可が異なる点です。家庭系の一般廃棄物であれば一般廃棄物収集運搬業許可が、事業所系の産業廃棄物であれば産業廃棄物収集運搬業許可が、それぞれ原則として必要になります。
産廃許可があれば一廃も運べる特例(法第50条)
家電リサイクル法第50条には、実務上とても重要な特例規定があります。
産業廃棄物収集運搬業者(小売業者の委託を受けて特定家庭用機器産業廃棄物の収集または運搬を業として行う者に限る)は、廃棄物処理法第7条第1項の規定にかかわらず、特定家庭用機器廃棄物(一般廃棄物であるものに限る)の収集または運搬の業を行うことができる。
つまり、小売業者(家電量販店など)から委託を受けた産廃収集運搬業者は、一般廃棄物収集運搬業の許可がなくても、家電4品目の一般廃棄物(家庭系)を運搬できるという特例です。この特例が使えるのは、あくまで「小売業者からの委託」という条件を満たす場合に限られる点に注意が必要です。
特例の落とし穴―委託関係を正確に確認する
たとえば、家電量販店からエアコン取り付け工事を請け負い、古い機器の回収も同時に行うケースがあります。この場合、小売業者(量販店)からの委託として位置づけられるかどうかが、特例の適用可否を左右します。工事業者が独自判断で回収しているに過ぎない場合は、特例の要件を満たさず、一般廃棄物収集運搬業の許可が別途必要になることがあります。契約・委託関係の整理を怠ると、無許可営業という重大な違反につながりかねません。
処理基準の遵守も忘れずに
特例によって許可の問題がクリアされたとしても、廃棄物処理法に定める収集運搬の処理基準は引き続き適用されます(家電リサイクル法第49条第4項)。飛散・流出防止、他の廃棄物との混載禁止など、通常の産廃運搬と同様のルールを守る必要があります。また、事業所から出た特定家庭用機器産業廃棄物については、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付義務が廃棄物処理法の規定に基づき適用される点も確認しておきましょう。
家電4品目の収集運搬は、一見シンプルに見えて、許可区分・委託の有無・処理基準の適用という複数の論点が絡み合っています。現場での判断に迷ったときは、排出元の業種・委託関係・品目区分を一つひとつ確認する習慣が、事業を守ることにつながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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