
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得していれば、どんな廃棄物でも運べると思っていませんか。実は、運べる廃棄物は許可証に記載された品目だけに限られます。品目ごとの取り扱い可否を正しく把握しておくことが、現場での法令違反を防ぐ第一歩です。
産業廃棄物の品目は全20種類
廃棄物処理法施行令第2条が定める産業廃棄物の品目は、全部で20種類です。燃え殻・汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・廃プラスチック類・ゴムくず・金属くず・ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず・鉱さい・がれき類・ばいじんの13品目(政令第2条第13号のその他のものを含む)は、業種を問わず産業廃棄物として扱われます。
一方、紙くず・木くず・繊維くず・動植物性残さ・動物系固形不要物・動物のふん尿・動物の死体の7品目は、排出する業種が限定されている産業廃棄物です。同じ「紙くず」でも、建設業や製紙業など施行令で定められた業種から出たものは産業廃棄物になりますが、一般のオフィスや飲食店から出たものは一般廃棄物として扱われます。収集運搬業者は、依頼を受けた際に排出事業者の業種を確認し、本当に産廃かどうかを見極めることが必要です。
許可証に記載のない品目は運べない
産廃収集運搬業の許可証には、取り扱う産業廃棄物の種類が記載されています(廃棄物処理法第14条第1項)。記載のない品目を運搬することは無許可収集運搬にあたります。たとえば「廃プラスチック類・金属くず・がれき類」の許可しか持っていない業者が、依頼に応じて廃油や汚泥を積み込めば、直ちに法令違反です。取り扱い品目を拡大したい場合は、変更許可申請が必要になります。
特別管理産業廃棄物は通常許可では運べない
廃油・廃酸・廃アルカリ・感染性廃棄物などは、通常の産廃の品目と名称が重なるものの、特定の要件を満たすものは「特別管理産業廃棄物」に区分されます(廃棄物処理法施行令第2条の4)。たとえば廃油の場合、施行令・施行規則上は揮発油類・灯油類・軽油類が引火性廃油として特別管理産業廃棄物に該当し、通常の産廃収集運搬業許可では運搬できません。これらに加え、多くの都道府県では旧厚生省通知に基づき、引火点概ね70℃未満の廃油を同様に取り扱うよう指導しています。特別管理産業廃棄物収集運搬業許可(廃棄物処理法第14条の4)を別途取得する必要があります。品目名だけで判断せず、性状・引火点・排出施設も確認することが重要です。
車両の種類によっても運べる品目に制約がある
道路法上の「土砂等運搬禁止車両」に指定されたダンプでは、がれき類・鉱さいを運搬することができません。また汚泥は、密閉できる容器を使用する場合または漏水防止措置が講じられたダンプを使用する場合を除き、ダンプでの運搬は認められていません。許可証に品目が記載されていても、使用する車両の条件によっては運搬が制限されることがある点に注意が必要です。
一般廃棄物は産廃許可では運べない
産廃の品目と名称が同じでも、排出業種によっては一般廃棄物に分類される廃棄物があります。前述の7品目がその代表例です。一般廃棄物の収集運搬には市町村長による別許可(廃棄物処理法第7条第1項)が必要であり、産廃収集運搬業許可では対応できません。産廃と一廃が混在しやすい現場では、排出事業者から廃棄物の性状・排出業種を確認し、品目の区分を慎重に判断することが求められます。
まとめ:品目の確認が違反防止の基本
産廃収集運搬業の車両で運べるものは、許可証に記載された品目だけです。20種類の産業廃棄物のうち、業種限定品目・特別管理産業廃棄物・車両条件による制約を正しく理解して運用することが、事業を安全に続けることにつながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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