産業廃棄物を収集運搬する車両には、走行中でも第三者が一目で確認できるよう、車体の両側面に必要事項を鮮明に表示する義務があります。「許可を取ったから大丈夫」と思っていても、この表示が不適切だと処理基準違反となり、行政処分の対象になります。現場を走るドライバーはもちろん、管理担当者もあらためて内容を確認しておきましょう。

表示義務の根拠条文

 車体表示の義務は、廃棄物処理法施行令第6条第1項第1号イに定められています。同号は、産業廃棄物の収集または運搬に当たっては、「運搬車の車体の外側に、環境省令で定めるところにより、産業廃棄物の収集又は運搬の用に供する運搬車である旨その他の事項を見やすいように表示」しなければならないと規定しています。この環境省令に当たるのが施行規則第7条の2の2であり、具体的な記載事項と表示方法が定められています。この義務は2005年(平成17年)4月1日の施行令改正によって設けられたもので、不法投棄や不適正処理を抑止し、運搬の正当性を外部から確認しやすくすることを目的としています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 第7条の2の2
令第六条第一項第一号イの規定による表示は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める事項を車体の両側面に鮮明に表示することにより行うものとする。

 ポイントは「両側面」という点です。運転席側だけ、あるいは助手席側だけの表示では義務を満たしていないことになります。片側しか表示していないケースは実務上よく見られる誤りのひとつなので、注意が必要です。

2つのパターンで覚える記載事項

 施行規則第7条の2の2は、表示すべき事項を運搬の主体によって2つのパターンに分けています。

 パターン1(排出事業者が自ら運搬する場合)は、①産業廃棄物を収集運搬している旨、②排出事業者の名称、の2点が必要です。業許可を持たない排出事業者が自社の廃棄物を自ら運ぶ場合にも表示義務は適用されます。「自社の廃棄物だから関係ない」という認識は誤りです。自社運搬であっても公道を走る以上、第三者が産廃を積んでいることを確認できる状態にしておく必要があります。

 パターン2(産業廃棄物収集運搬業者が運搬する場合)は、①産業廃棄物を収集運搬している旨、②収集運搬業者の名称、③許可番号(下6桁)、の3点が必要です。許可番号は都道府県・政令市ごとに異なりますが、表示すべきなのは下6桁と規定されています。複数の自治体から許可を受けている場合、どの許可番号を表示するかについては自治体ごとの運用を確認するのが確実です。

「鮮明」の意味と実務上の注意点

 施行規則は表示を「鮮明に」行うと定めています。文字が薄れていたり、ステッカーが剥がれかけていたりする状態では基準を満たさないおそれがあります。車両の使用頻度が高い事業者ほど劣化が早いため、定期的な点検と貼り替えを習慣にすることが重要です。また、許可の更新後に許可番号が変わった場合は、表示内容も速やかに差し替えなければなりません。更新したにもかかわらず旧番号のままになっているケースは立入検査でよく指摘されます。車両を増車・入れ替えした際の表示漏れにも注意が必要です。

違反した場合のリスク

 表示義務違反は処理基準違反に該当します。行政庁による改善命令・措置命令の対象となるほか、繰り返しや悪質なケースでは許可取消しに至る可能性もあります。立入検査の際には車体表示が真っ先に確認されるポイントのひとつです。日々の業務で見落としがちな部分だからこそ、定期的にチェックする習慣をつけることが事業を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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