大規模な地震や水害が発生すると、被災地では短期間に膨大な量の廃棄物が発生します。その処理を迅速に進めるうえで、産業廃棄物処理業者が果たす役割は非常に大きいものがあります。一方で、「通常の業務とは何かが違う」「どこまで許可なく動いていいのか」といった疑問を持つ実務担当者も少なくありません。ここでは、廃棄物処理法が災害廃棄物の処理についてどのような原則と特例を定めているかを整理します。

法律が定める「災害廃棄物処理の原則」

 廃棄物処理法は、第2条の3(非常災害により生じた廃棄物の処理の原則)において、災害廃棄物は「生活環境の保全及び公衆衛生上の支障を防止しつつ、円滑かつ迅速に処理されなければならない」と定めています。この規定は、スピードを優先しながらも適正処理を確保するという、災害時特有のバランスを法律の条文として明文化したものです。同条第2項では、廃棄物量が著しく多量であることを踏まえ、分別・再生利用等による減量化にも配慮すべきとされています。

 また、第4条の2(非常災害時における連携及び協力の確保)では、国・地方公共団体・事業者その他の関係者が適切に役割を分担しながら相互に連携・協力するよう努めなければならないと定めています。産業廃棄物処理業者もこの「事業者」に含まれ、平時から自治体との協定や情報共有を進めておくことが期待されています。

事業場外保管における「14日以内の届出」特例

 産業廃棄物処理業者にとって実務上とくに重要なのが、事業場外保管に関する特例です。廃棄物処理法第12条第3項は、事業者が産業廃棄物を事業場の外で保管する場合、原則としてあらかじめ都道府県知事への届出が必要と定めています。ところが、同条第4項により、「非常災害のために必要な応急措置として保管を行うとき」は、保管した日から起算して14日以内に届け出ることで足りるとされています。特別管理産業廃棄物についても、第12条の2第4項で同様の措置が定められています。

 この規定は、大規模災害が発生した直後に仮置場などで急遽保管が必要となる場面を想定した緊急時の緩和措置です。ただし、事後届出が認められているだけであり、保管自体は産業廃棄物処理基準に従う必要がある点は変わりません。また、14日の届出期限を過ぎた場合には法第33条第1号により20万円以下の過料が科されるため、日付の管理は確実に行うことが必要です。

「災害廃棄物」は何廃棄物か——一般廃棄物との関係

 実務上よく混乱が生じるのが、災害廃棄物の廃棄物区分です。被災した家屋のがれきや家財道具など、一般家庭や公共施設から発生した廃棄物は一般廃棄物に分類され、処理の主体は市町村となります。一方、工場や事業場の建物・設備から発生した廃棄物は産業廃棄物として事業者の処理責任が残ります。大規模災害では両者が混在する仮置場が設けられるケースも多く、産廃業者が自治体との協定のもとで一般廃棄物の処理に関与する場合は、別途法的根拠の確認が必要です。

 なお、産業廃棄物の収集・運搬や処分を行う際の許可要件そのものは、災害時であっても原則として免除されません。通常どおり収集運搬業の許可を有する業者が処理を担うことが基本であり、平時から許可品目・処理能力の範囲を確認しておくことが重要です。被災地での応急対応に当たる場合も、マニフェスト交付等の義務が適用されるかどうかについては、都道府県の指導に従って判断することが求められます。

平時からの備えが現場対応を支える

 廃棄物処理法の特例は、あくまでも「非常災害のために必要な応急措置」の範囲に限られます。平時とは異なる動き方をする場面であっても、処理の流れと記録は残しておく必要があり、後日の行政確認にも備えておくことが大切です。自治体との事前協定の締結、担当者への法令研修、緊急時の連絡体制の整備——こうした平時からの準備が、いざというときの迅速な対応と、法令違反リスクの回避につながります。

 災害廃棄物の適正かつ迅速な処理に貢献できる産廃業者であることが、地域社会との信頼を深め、事業を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

申請なら産廃収集運搬申請特化の行政書士吉田哲朗事務所にお任せ下さい。
個人事業主、法人のお客様問わず、たくさんのお問合せを頂いております。
JWセンターの収集運搬過程終了の行政書士による講習試験アドバイス
経理的基礎である財務把握はもちろん、中小企業診断士とタイアップ
最短3日で申請!

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗