
「化管法って聞いたことはあるけど、うちの会社には関係あるのかな?」と思っている方も多いのではないでしょうか。化管法(化学物質排出把握管理促進法)は、化学物質を取り扱う事業者に自主的な管理と情報開示を求める法律ですが、2026年1月からは産業廃棄物の処理委託契約書にも直結する改正が施行されました。産廃に携わる実務担当者の方は、内容をしっかり押さえておく必要があります。
化管法とは何か
化管法の正式名称は「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」です。大きく二つの制度を柱としています。一つ目はPRTR制度(化学物質排出移動届出制度)で、対象事業者が指定化学物質の排出量・移動量を毎年国に届け出る仕組みです。二つ目はSDS制度(安全データシート制度)で、対象化学物質を他の事業者に譲渡・提供する際に安全データシートの提供を義務付けるものです。いずれも事業者が化学物質を自主的に管理し、環境への悪影響を未然に防ぐことを目的としています。
第一種指定化学物質とは
化管法では、規制の対象となる化学物質を「第一種指定化学物質」と「第二種指定化学物質」に分類しています。このうち第一種指定化学物質は現在515物質が指定されており、人や生態系への有害性があり、環境中に継続して広く存在すると認められる物質が対象です。トルエン、鉛化合物、ベンゼンなどが代表的な例として挙げられます。さらにその中でも発がん性の懸念が特に高い物質などは「特定第一種指定化学物質」(23物質)として、より厳しい基準が設けられています。
PRTR届出の対象事業者
PRTR制度の届出義務が発生するのは、以下の要件をすべて満たす事業場です。まず政令で指定された24業種に属していること、次に従業員数が21人以上であること、そして第一種指定化学物質の年間取扱量が1トン以上(特定第一種は0.5トン以上)であることが求められます。これらをすべて満たす事業場は「第一種指定化学物質等取扱事業者」として毎年4月に前年度分の届出を行う義務があります。自社がこの対象に該当するかどうかは、使用している原材料のSDSを確認することが第一歩です。
2026年1月改正——産廃委託契約書への記載義務
2026年1月1日に施行された廃棄物処理法施行規則の改正により、PRTR対象事業者が産業廃棄物の処理を委託する際の契約書に、第一種指定化学物質に関する情報の記載が法定事項として義務付けられました。具体的に記載が必要な内容は、①当該物質が含まれている旨、②物質の名称、③量または濃度(割合)の三点です。対象となる廃棄物は、第一種指定化学物質を1重量%以上(特定第一種は0.1重量%以上)含む産業廃棄物です。この義務は収集運搬・処分の両方の委託契約書に適用されます。
既存の契約書はどう対応する?
すでに締結済みの契約書については、施行日以降の最初の契約更新(自動更新を含む)のタイミングまでに対応すれば足りるという経過措置が設けられています(改正省令附則第2条)。ただし、更新時期を見落とすと法令違反となりますので、既存契約の有効期間と自動更新の日程をいま一度確認しておきましょう。新規契約については、施行後は当初から正しく記載することが必要です。
実務上の確認ポイント
まず自社がPRTR制度の対象事業者かどうかを確認し、次に排出している産業廃棄物に第一種指定化学物質が含まれているかを製造部門・品質管理部門と連携してSDSで確認することが重要です。「微量の鉛が含まれていた」「トルエンを溶剤として使用していた」といった事実があれば、今回の契約書改正の対象となります。収集運搬業者・処分業者に対して正確な情報を伝えることが、適正処理の確保と万が一の事故防止にも直結します。法令の要求事項を正しく守ることが、排出事業者としての責任を果たし、事業を守ることにつながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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