脱水処理はなぜ必要なのか

 工場や建設現場などから排出される汚泥は、水分を大量に含んでいます。そのままの状態では運搬も保管も非常に扱いにくく、最終処分場での埋立にも適しません。そこで中間処分場が行うのが「脱水処理」です。汚泥から水分を機械的に除去し、体積と重量を大幅に減らすことで、その後の処分やリサイクルを格段に進めやすくすることができます。脱水処理は、廃棄物処理の流れの中でも特に重要な減量化工程のひとつです。

法令上の位置づけ|施行令第7条第1号

 脱水施設については、廃棄物処理法施行令第7条第1号が「汚泥の脱水施設であって、1日当たりの処理能力が10立方メートルを超えるもの」を産業廃棄物処理施設(15条施設)として定めています。この規模に該当する施設を設置する場合は、廃棄物処理法第15条に基づき、都道府県知事等の設置許可を受けることが必要です。処理能力が10㎥/日以下の小規模な脱水設備であれば設置許可は不要ですが、それでも産業廃棄物処分業許可は別途必要になる点に注意が必要です。

代表的な脱水方式

 脱水施設で使われる機械には、主に次の3種類があります。まずフィルタープレス方式は、高圧力でろ過プレートに汚泥を押し込む方式で、幅広い種類の汚泥に対応でき、ろ液の清澄性が高いことが特徴です。次にベルトプレス方式は、2枚のろ布(ベルト)で汚泥を挟んで連続的に圧搾する方式で、処理量が多い現場に向いています。3つ目の遠心脱水方式(デカンタ型)は、高速回転による遠心力で固液を分離するもので、連続処理が得意です。汚泥の性状や発生量に応じて、適切な方式を選ぶことが施設運営の基本となります。

脱水ケーキの取り扱い

 脱水処理後に残る固形物は「脱水ケーキ」と呼ばれます。含水率は大幅に低減され、運搬・保管がしやすい状態になります。脱水ケーキは産業廃棄物(汚泥)としての性質を引き続き持つため、最終処分場への搬入やセメント原料・緑農地利用などのリサイクルルートへつなぐ際も、マニフェストの交付が必要です。処理の途中で性状が変わったとしても、廃棄物としての管理義務は変わりません。排出事業者側も、委託先の処分施設が適正に脱水処理を行っているかを確認しておくことが大切です。

施設設置許可と技術管理者

 処理能力が10㎥/日を超える脱水施設を設置する場合は、生活環境影響調査の実施と都道府県知事等への申請が必要になります。また、廃棄物処理法第21条第1項に基づき、脱水施設を含む産業廃棄物処理施設の設置者には技術管理者の設置が義務づけられています。技術管理者は所定の学歴・実務経験要件を満たした上で、環境省が定める講習を修了することが望ましいとされています。許可取得から施設稼働まで2〜3年を要する場合もあるため、早い段階から行政との事前協議を開始することが実務上の重要なポイントです。

まとめ

 脱水処理は、扱いの難しい汚泥を「後工程につなげられる固体」に変える、中間処理の根幹をなす工程です。施行令第7条第1号による許可の要否、脱水方式の選定、脱水ケーキの適正管理まで、それぞれに法令上の要件が設けられています。適切な設備と管理体制を整え、法令を遵守した運営を続けることが、事業の信頼性を高め、長期的な事業継続を支えることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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