産業廃棄物収集運搬業の許可申請を進めていると、「経営診断書が必要です」と言われて困る方は少なくありません。設立間もない会社や決算状況が思わしくない場合に登場するこの書類、いったい何を書くものなのか、誰に頼めばいいのかを整理します。

経営診断書が必要になるのはどんなとき?

 廃棄物処理法第14条は、産業廃棄物収集運搬業の許可要件として、施設・能力が「その事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合すること」を求めています(同条第5項第1号)。この「環境省令で定める基準」の中に経理的基礎を有することが含まれており、審査では決算書をもとに財務状況が確認されます。①設立から3期の決算書が揃っていない新設法人、②直近3期の経常利益の平均がマイナス、③直前期に債務超過である、などの状態に該当する場合、決算書だけでは経理的基礎を示せないと判断され、中小企業診断士が作成した経営診断書の添付が求められることがあります。ただし、経営診断書が必要かどうかの判断基準や審査の運用は申請先の都道府県・政令市によって異なりますので、必ず事前に管轄窓口で確認することが大切です。

経営診断書に盛り込まれる主な内容

 経営診断書は中小企業診断士が申請会社にヒアリングを行い、直近の決算を基に作成します。記載される主な内容は、①事業の概要と収集運搬業を行う目的、②現在の財務状況の分析(収益性・安全性・流動性など)、③今後5年程度の収支計画と経営見通し、④経営改善のための具体的な施策です。単に「赤字です」と書くのではなく、なぜ現状に至ったか、どのように立て直すかを論理的に説明する書類であり、審査担当者に「この会社なら許可を与えても廃棄物を適正に処理し続けられる」と判断してもらうための根拠資料です。

作成できるのは中小企業診断士または公認会計士のみ

 経営診断書の作成者は中小企業診断士または公認会計士に限られており、行政書士や税理士が単独で作成・署名することはできません。対応できる診断士は各地域の中小企業診断士協会などで確認できます。費用の相場は内容・依頼先によって異なりますが、一般的には数万円から十数万円程度とされています。

経営診断書が必要かどうか、まず決算状況と窓口に確認する

 経営診断書が必要かどうかは、主に直近3期分の決算内容(経常利益・債務超過の有無)と営業年数が判断材料になりますが、具体的な審査基準は自治体ごとに定められています。申請を検討している段階で管轄の都道府県または政令市の窓口に事前相談し、自社の決算状況を踏まえて確認することが最も確実です。経営診断書の作成には一定の時間がかかるため、必要と判断されたら早めに中小企業診断士に依頼し、申請スケジュールに余裕を持つことが許可取得を確実に進めるポイントになります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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