
「A社の積替え保管施設から回収した廃棄物を、自社の積替え保管施設で一時保管したい」というご相談をいただくことがあります。中間処理施設の受入れがひっ迫する時期に需要が高まる運用方法ですが、廃棄物処理法上の整理が必要なポイントが複数あります。とりわけ、委託契約の組み方を誤ると法令違反になるリスクがありますので、フローごとに丁寧に確認しておきましょう。
積替え保管の基本的な仕組みを確認する
産業廃棄物の収集運搬は、原則として排出事業場から中間処理施設または最終処分場へ直行するのが基本です。運搬途中に廃棄物を一度荷下ろしして別の車両に積み替えたり、一定期間保管したりする行為が「積替え保管」であり、これを行うには収集運搬業許可(積替え保管を含む)が必要です。この許可は施設単位で付与され、保管できる廃棄物の種類・量・運搬先があらかじめ許可の範囲として定められています。
「積替え保管場所から積替え保管場所へ」の法令上の位置づけ
廃棄物処理法施行令第6条第1項第1号ホは、積替え保管を行う場合の基準として、「あらかじめ、積替えを行った後の運搬先が定められていること」を求めています。A業者の積替え保管施設から廃棄物を引き取り、自社の積替え保管施設に搬入する行為は、A業者の許可に定められた運搬先の一覧に自社施設が含まれていれば、この基準を満たします。また、自社施設から最終的な中間処理施設等へ搬出するルートも、別途自社許可の範囲に含まれている必要があります。
委託契約は「区間委託」で組む──再委託との違いに注意
ここで多くの実務担当者がつまずくのが、委託契約の組み方です。廃棄物処理の委託契約は、廃棄物処理法の委託基準上、排出事業者が各処理業者と直接締結する二者契約が原則とされています。A業者が自社(弊社)や中間処理業者とさらに契約を結ぶ形は「再委託」に該当し、法第14条第16項により原則禁止されています。再委託を恒常的に行うことは制度の趣旨に反するとして行政庁から指導を受けるリスクがあります。今回のフロー(排出者→A業者→弊社→中間処理業者)では、「区間委託」という考え方で契約を組むことが正しい対応です。区間委託とは、排出事業場から処分施設までの運搬を区間ごとに分割し、それぞれの区間を担当する収集運搬業者と排出事業者が直接契約を締結する方法です。
正しい契約の組み方──排出者が各業者と直接契約する
区間委託では、排出事業者がすべての関係業者と個別に二者契約を締結します。具体的には、①排出者とA業者(排出場所からA業者施設までの区間①)、②排出者と弊社(A業者施設から弊社施設までの区間②)、③排出者と弊社または別の運搬業者(弊社施設から中間処理施設までの区間③)、④排出者と中間処理業者(処分委託)の4本の契約が必要です。各契約書に記載する「運搬の最終目的地」は、その区間の運搬終点となる施設を記載します(例:区間①の契約ではA業者の積替え保管施設、区間②では弊社施設)。A業者と弊社の間、またはA業者と中間処理業者の間で直接契約を結ぶことは、この仕組みの中では不要であり、むしろ避けなければなりません。
マニフェストと自治体確認の注意点
区間委託で積替え保管を経由する場合、マニフェストは直行用の7枚複写ではなく積替え保管用の8枚複写を使用します。各区間の運搬状況が区間ごとに追跡できるよう記載・管理することが求められます。また、保管上限は1日当たりの平均搬出量の7日分を超えてはならない点も、二段積替えによって物量が集中しやすい状況では特に注意が必要です。なお、都道府県・政令市によって運用方法が異なる場合があります。二段積替えの取り扱いについては所管行政庁に事前に確認することが実務上の鉄則です。
まとめ──正しい契約の組み方が事業を守る
積替え保管施設から別の積替え保管施設へ廃棄物を移動させること自体は、法令上の要件を満たしていれば禁止されていません。ただし、契約関係を誤るとA業者による「再委託」とみなされ、排出事業者・A業者双方が委託基準違反を問われるリスクがあります。排出事業者が各区間の業者と直接契約を結ぶ区間委託の考え方を正確に理解し、許可・契約・マニフェストの三点を整えることが、適正な処理フローを維持して事業を守ることにつながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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