
「特別管理産業廃棄物も扱えるようにしたい」という相談を受けたとき、最初につまずきやすいのが申請の進め方です。特別管理産業廃棄物収集運搬業許可は、通常の産業廃棄物収集運搬業許可とは別の許可であり、申請書類も審査の観点もそれぞれ独立しています。ここでは、申請段階で押さえておきたい実務上の注意点を整理します。
通常の許可とは別個の手続きであることを理解する
特別管理産業廃棄物の収集または運搬を業として行う場合は、廃棄物処理法に基づき都道府県知事の許可を受けなければなりません。通常の産業廃棄物収集運搬業許可をすでに持っている事業者であっても、特別管理産業廃棄物を扱うには改めて申請が必要です。
特別管理産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、特別管理産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。(廃棄物処理法第14条の4第1項)
同時に申請する場合でも、講習修了証や事業計画書などはそれぞれの許可ごとに用意する必要があります。「通常の許可を持っているから大丈夫」と思い込まず、必要書類を許可単位で確認することが大切です。
許可基準を満たす体制を事前に整える
許可は、申請すれば自動的に下りるものではありません。都道府県知事は、事業に供する施設および申請者の能力が事業を的確かつ継続的に行うに足りるものであるかどうか、また申請者が欠格要件に該当しないかどうかを審査したうえで許可の可否を判断します。施設・人員・財務状況のいずれかに不備があると、申請段階で指摘を受け、補正や追加資料の提出を求められることになります。
講習修了証は計画的に準備する
特別管理産業廃棄物の取り扱いには、専門的な知識および技能が求められます。実務上は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する講習の修了証が、知識・技能を有することの証明として広く用いられています。社内に該当する有資格者がいない場合、講習の開催時期や定員の都合で受講までに時間がかかることもあるため、申請スケジュールから逆算して早めに受講計画を立てることが望ましいです。
事業の範囲は実態と一致させて記載する
申請書には、取り扱う特別管理産業廃棄物の種類や積替え保管の有無など、事業の範囲を具体的に記載します。ここで実際の業務内容と異なる範囲を記載してしまうと、許可後に想定外の廃棄物を運搬できなかったり、逆に許可の範囲を超えて運搬してしまい無許可営業とみなされたりするおそれがあります。受託予定の廃棄物の種類は、契約予定先と事前にすり合わせたうえで申請書に反映することが重要です。
申請窓口の管轄を取り違えない
運搬のみを行う場合、申請先は特別管理産業廃棄物の積卸しを行う区域を管轄する都道府県知事です。一方、積替え保管を伴う特別管理産業廃棄物収集運搬業については、政令指定都市や中核市に許可権限が移譲されている場合があります。事業エリアが複数の自治体にまたがる場合は、それぞれの行政庁ごとに申請が必要になることもあるため、自社の事業範囲を踏まえて窓口を正しく見極める必要があります。
有効期間と更新時期を見据えておく
許可には有効期間が設けられており、期間満了前に更新の手続きを行わなければ、その効力を失います。申請時点では先の話に思えますが、更新申請の準備には書類収集や講習の再受講など一定の時間がかかります。許可を取得した段階で、更新時期をあらかじめスケジュールに組み込んでおくと安心です。
特別管理産業廃棄物収集運搬業許可の申請は、通常の許可申請に比べて確認すべき事項が多く、書類の不備や事業範囲の記載ミスが審査の長期化につながることも少なくありません。申請前の準備を丁寧に行うことが、スムーズな許可取得と、その後の安定した事業運営につながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、 公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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