「加工の過程で出る野菜くずや果物の皮は、どの品目として扱えばいいのか」。植物残さの処理を検討する担当者から、こうした相談を受けることは少なくありません。実は植物残さは、排出された業種によって産業廃棄物になる場合と一般廃棄物になる場合があるという、やや分かりにくい性質を持っています。ここでは、その分類の考え方を整理します。

植物残さが該当する品目「動植物性残さ」とは

 廃棄物処理法施行令第2条第4号では、産業廃棄物の一つとして次のように定めています。

食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物

 この条文に基づく品目が、実務上「動植物性残さ」と呼ばれているものです。植物由来の不要物はこのうち「植物性残さ」に整理され、果実の搾りかす、野菜くず、大豆かす、茶かす、酒かすや発酵かすなどが典型例として挙げられます。

産業廃棄物になるのは「業種」が限定されているため

 ここで注意したいのは、植物残さそのものの性質だけで品目が決まるわけではないという点です。施行令が対象としているのは、あくまで食料品製造業・医薬品製造業・香料製造業という3業種において、原料として使用した後に生じた固形状の不要物に限られます。同じ植物残さでも、指定された業種以外から排出されたものは、産業廃棄物には該当しません。

 例えば、果汁工場から出る果実の搾りかすは、原料として使用した植物性の固形状不要物にあたるため、動植物性残さとして産業廃棄物に分類されます。一方、飲食店の調理くずや小売店で発生する売れ残り野菜などは、同じような性状であっても指定業種に該当しないため、事業系一般廃棄物として処理することになります。排出元の業種を確認する作業が欠かせません。

液状・泥状のものは対象外になる点にも注意

 条文は「固形状の不要物」と規定しているため、液状や泥状の状態で排出されたものは動植物性残さには含まれません。この場合は、性状に応じて廃油、廃酸、廃アルカリ、汚泥など、別の品目として扱う必要があります。植物残さであっても水分量や状態によって分類が変わることは、現場の判断で見落としやすいポイントです。

実務では委託契約書やマニフェストへの記載にも影響

 植物残さが産業廃棄物の動植物性残さに該当する場合は、収集運搬業者や処分業者との委託契約書にその品目を正しく記載し、マニフェストにも同様に反映させる必要があります。品目の判断を誤ったまま契約書を作成すると、後から委託内容の不備を指摘されるおそれもあるため、契約締結前の段階で排出元の業種と性状を確認しておくことが望ましいといえます。

 なお、植物残さの多くは腐敗しやすい性質を持つため、保管基準に沿った適正な管理も欠かせません。悪臭や害虫の発生を防ぐ観点からも、排出量が多い場合は早めに収集運搬業者へ引き渡す体制を整えておくとよいでしょう。

 植物残さの取り扱いは、排出業種と性状という二つの視点から確認することが基本になります。自社の廃棄物がどの品目に該当するかを正しく把握しておくことが、適正な委託契約やマニフェスト運用につながり、ひいては事業を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄5丁目19-31 T&Mビル3F-3X
行政書士吉田哲朗事務所
吉田 哲朗
TEL052-380-3173
Mobile:090-6090-0386
Email:info@office-yoshida-te.com
Facebook
Instagram
X(Twitter)

YouTube

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗