産業廃棄物収集運搬業の許可申請で「講習会修了証は代表者ではなく、担当の従業員のものしかない」という状況に直面することがあります。このようなケースで頼りになるのが、政令使用人という制度です。ただし、この制度を使うには、単に講習会を修了しているだけでは足りません。その人物が本当に契約締結権限を持つ地位にあるのかを、書類でしっかり示す必要があります。

政令使用人とは何を指すのか

 政令使用人とは、廃棄物処理法施行令第6条の10に定められた者を指します。条文は次のとおりです。

法第七条第五項第四号ト、ヌ及びルに規定する政令で定める使用人は、申請者の使用人で、次に掲げるものの代表者であるものとする。
一 本店又は支店(商人以外の者にあつては、主たる事務所又は従たる事務所)
二 前号に掲げるもののほか、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、廃棄物の収集若しくは運搬又は処分若しくは再生の業に係る契約を締結する権限を有する者を置くもの

 要するに、本店・支店、または営業所などの拠点で、廃棄物の収集運搬や処分に関する契約を締結する権限を持つ従業員のことです。いわゆる「支店長」「工場長」「営業所長」といった肩書の方が該当するケースが多く見られます。

なぜ「地位」の証明が重要になるのか

 政令使用人は法人の登記事項証明書に記載されないことがほとんどです。取締役であれば登記簿でその地位を確認できますが、政令使用人はあくまで社内的な権限の付与にとどまるため、外部からは見えません。そのため行政庁は、申請者が「この人物は確かに契約締結権限を持つ代表者である」と主張する根拠を書類で確認する必要があります。この確認が不十分だと、講習会修了証があっても許可要件を満たせないと判断されるおそれがあります。

組織図が果たす役割

 多くの自治体で提出を求められるのが組織図です。組織図には、対象者がどの部署・事業場に所属し、どのような役職・権限を持つのかを明示する必要があります。単に名前と役職を並べただけの組織図では不十分で、契約締結権限がその役職に紐づいていることが読み取れる形にすることが望まれます。特に、代表者から対象者までの指揮命令系統が分かるように作成しておくと、審査でのやり取りが少なくなります。

証明書・申立書の作成ポイント

 組織図とあわせて必要になるのが、「政令使用人に関する証明書」または「申立書」です。多くの自治体では参考様式を配布していますが、様式が定められていない自治体では任意様式で作成することになります。記載内容としては、対象者の氏名・役職に加え、どの事業場の代表として、どの範囲の契約締結権限を有しているかを具体的に記載することが求められます。「契約に関する社内折衝、社内調整、最終的な意思決定を行う」といった実務内容まで書き込むと、審査側の理解を得やすくなります。

自治体ごとの取扱いの違いに注意

 政令使用人の取扱いは、自治体によって求められる書式や添付書類の範囲が異なる点にも注意が必要です。複数の都道府県にまたがって許可を取得する場合、一方の自治体で政令使用人として認められても、もう一方では追加の証明を求められることがあります。事前に申請先の窓口へ具体的な提出書類を確認しておくことが、手続きをスムーズに進めるコツです。

 政令使用人の制度は、代表者以外の従業員が講習会修了証を持っている場合に許可取得の道を開く便利な仕組みです。しかし、その分だけ「地位」の証明を丁寧に行うことが審査を通過する鍵になります。組織図と証明書を整合性のある形で準備しておくことが、事業を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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