「うちの会社が扱っている廃棄物、許可品目と本当に一致していますか?」

 産業廃棄物収集運搬業の許可を取得したあと、こうした問いに即答できる事業者は意外と多くありません。日々の業務の中で取り扱う廃棄物の種類が少しずつ増えていても、許可証に記載された品目と照らし合わせる機会は案外少ないものです。しかし、この品目のズレこそが、行政指導や刑事罰にまで発展しかねない重大なリスクの入り口になります。

許可は品目ごとに範囲が決まっている

 産業廃棄物収集運搬業の許可は、取り扱う産業廃棄物の種類を特定したうえで与えられるものです。許可申請の際に提出する事業計画書には、収集運搬する品目を具体的に記載する必要があり、そこに含まれていない品目を扱うことは原則としてできません。新たな品目を取り扱いたい場合は、あらかじめ変更許可申請を行い、変更許可証の交付を受けてからでなければ実施できないのです。

リスク①:事業範囲の無許可変更

 許可を得ていない品目を収集運搬してしまった場合、「事業範囲の無許可変更」として扱われます。これは廃棄物処理法の中でも特に重い罰則が定められている違反行為であり、故意でなくとも成立し得る点に注意が必要です。

五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(廃棄物処理法第25条第1項第3号)

 法人が業務としてこれを行った場合には、罰金の上限が3億円にまで引き上げられます。「今回だけ」「少量だから」という軽い判断が、許可取消しという重大な行政処分につながることも珍しくありません。

リスク②:委託契約書の記載と実態のズレ

 排出事業者が処理を委託する際も、品目選定の誤りは大きなリスクとなります。委託契約書に記載する産業廃棄物の種類が、委託先の許可品目と一致していなければ、委託基準違反に該当する可能性があります。委託先の許可証を確認せずに契約を結んでしまうと、排出事業者側にも責任が及ぶ点に注意が必要です。

リスク③:マニフェストの品目番号誤記

 実務上、見落とされがちなのがマニフェストへの品目番号の誤記です。契約上は正しい品目であっても、伝票に誤った番号を記載してしまうと、行政指導の対象となる場合があります。マニフェストは排出から最終処分までを追跡する重要な書類であるため、品目の記載は契約書・許可証・伝票の三者で常に整合させておく必要があります。

防止のためにできること

 許可申請の段階で、将来的に取り扱う可能性のある品目まで見越して事業計画書に記載しておくことは、有効な予防策のひとつです。事業拡大のたびに変更許可申請を行うのは手間と時間がかかるため、事業の見通しを踏まえた申請内容の設計が重要になります。委託契約においても、契約締結時に委託先の許可品目の範囲を必ず確認する習慣を徹底することが、トラブルの芽を摘むことにつながります。

 品目の選定は、単なる書類上の手続きではありません。日々の業務実態と許可内容を継続的に一致させておくことが、事業を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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