「うちは赤字だから許可が下りないのでは」と心配する方は多いのですが、実際の審査では赤字かどうかだけでなく、複数の財務指標を組み合わせて総合的に判断されています。ここでは、経理的基礎の審査で具体的にどこを見られているのかを整理します。

経理的基礎の根拠となる条文

 産業廃棄物収集運搬業の許可要件は廃棄物処理法第14条第5項第1号に定められており、「その事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合すること」が求められています。この基準の一つに経理的基礎を有することが含まれ、決算書等の書類をもとに財務状況が確認されます。

自己資本比率で会社の体力を見る

 まず確認されるのが自己資本比率です。計算式は「純資産÷総資本×100」で、直前期における会社の財務体質を示す代表的な指標とされています。自己資本比率が一定の水準を下回ると、追加資料の提出や中小企業診断士による診断書の添付が求められる自治体もあります。数値が低いこと自体が即不許可を意味するわけではありませんが、審査の入り口として重視される指標であることは押さえておく必要があります。

経常利益は単年ではなく3期分の推移で見られる

 次に確認されるのが経常利益の推移です。直前期だけでなく直前3年間の経常利益の平均値が黒字か赤字かも判断材料になります。単年で黒字であっても3期平均が赤字であれば評価が下がる場合があり、逆に直前期が赤字でも過去の実績次第では大きな問題とならないこともあります。一時的な赤字か、構造的な赤字かを見極めるのがこの指標の役割です。

個人事業主は資産と負債のバランスが見られる

 個人事業主の場合は決算書がないため、直前期における資産と負債の関係と所得税の納税状況が主な判断材料になります。資産が負債を上回っているか、納税額が発生しているかといった点が確認され、資産が負債を下回る状態が続くと追加書類の提出を求められることがあります。

積替え保管の有無で審査の厳格さが変わる

 同じ収集運搬業許可でも、積替え保管を伴う申請は伴わない申請より審査が厳しくなる傾向があります。積替え保管ありの場合は自己資本比率や経常利益の基準がより細かく設定されており、該当する区分によっては借入残高証明書や返済予定表の提出、中小企業診断士の診断書が必要になることもあります。

営業実績が浅い会社はどう判断されるか

 設立から3期分の決算書が揃わない新設法人については、開始貸借対照表や申立書など代替書類で対応できる場合があります。ただし取り扱いは自治体ごとに異なるため、申請前に管轄窓口へ確認しておくことが欠かせません。

まとめ

 経理的基礎の審査では、自己資本比率・経常利益の3期推移・資産と負債のバランス・積替え保管の有無といった複数の指標が組み合わされて判断されます。赤字の有無だけにとらわれず、これらの指標を日頃から把握しておくことが、許可申請をスムーズに進めることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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