産業廃棄物の許可申請や更新手続きを進める中で、「自社の事業所がある自治体は、都道府県と市のどちらに申請すればよいのか」と迷うケースは少なくありません。特に複数拠点を持つ事業者や、事業所のある市が中核市への移行を予定している場合、この確認を怠ると申請先を誤ってしまうおそれがあります。ここでは、自社の許可がどの行政庁の管轄になるのかを見極めるための具体的な確認方法を整理します。

原則は都道府県、一部は政令指定都市・中核市へ移譲

 まず前提として、産業廃棄物に関する許可権限は、廃棄物処理法に基づき原則として都道府県知事が有しています。ただし、事業所や施設の所在地が政令指定都市や中核市である場合には、一部の許可権限がその市に移譲されている点に注意が必要です。

移譲の対象になる許可・ならない許可

 権限移譲の対象となるのは、積替え保管を含む産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業(中間処分・最終処分)、そして特別管理産業廃棄物収集運搬業(積替え保管を含むもの)です。一方で、積替え保管を含まない収集運搬業の許可は、2011年(平成23年)4月1日以降、原則として都道府県に一元化されており、政令指定都市や中核市には移譲されていません。この区分を誤ると、申請先の窓口自体を間違えてしまうため、まず自社の業の種類を確認することが第一歩になります。

政令指定都市・中核市かどうかの判断基準

 次に、事業所や積替え保管施設の所在地が政令指定都市・中核市に該当するかどうかを確認します。政令指定都市は地方自治法第252条の19第1項に基づき人口50万人以上の市(実務上はおおむね70万人程度が目安)、中核市は同法第252条の22第1項に基づき人口20万人以上の市が対象です。

地方自治法第252条の19第1項「政令で指定する人口五十万以上の市」/同法第252条の22第1項「政令で指定する人口二十万以上の市」

 どちらの制度も、都市の規模に応じて都道府県の事務権限の一部を移譲する仕組みであり、産業廃棄物行政もその対象分野の一つに含まれています。総務省や各中核市市長会のホームページで最新の指定市一覧を確認できるため、自社の所在地がこれに該当するかをまず調べておくと安心です。

許可番号の桁数からも確認できる

 より確実な確認方法として、既に許可を取得している場合は許可番号の桁数を見る方法があります。許可番号は10桁または11桁で構成されており、平成12年度以前から権限を持っていた政令市は10桁、平成13年度以降に新たに政令市・中核市となった自治体は11桁で付番される運用になっています。この桁数を確認することで、現在の許可権者がどの自治体かを推測する手がかりになります。

管轄が途中で変わることもある

 さらに注意したいのが、中核市の指定や解除によって管轄が変わる場合があるという点です。人口20万人以上の要件を満たす市が新たに中核市へ移行すると、その市内に事業所や施設を持つ事業者は、翌年度以降の更新申請や変更届の提出先が都道府県から市へ切り替わることがあります。反対に、財政状況などを理由に政令市の指定が解除される例もあり、この場合は逆に市から都道府県へ管轄が戻ります。移行前後の取り扱いについては、対象自治体が事前に説明資料や経過措置を公表することが多いため、更新時期が近い事業者は該当自治体のホームページを定期的に確認しておくとよいでしょう。

3つの確認ポイントを押さえておく

 管轄の見極めは、業の種類・所在地の自治体区分・許可番号の3点を組み合わせて確認するのが確実です。特に複数拠点を展開する事業者や、更新申請・変更届のタイミングを控えている事業者にとっては、この確認作業を事前に済ませておくことが、無用な手続きの遅れやトラブルを避け、事業を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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