
新規に産業廃棄物収集運搬業を始めようとする事業者の中には、「許可申請は自分で行えるのか」「行政書士に依頼すると費用が高くなるのではないか」と迷う方が少なくありません。産業廃棄物収集運搬業許可の申請自体は、法律上事業者本人が手続きを行うことも可能であり、行政書士への依頼が義務付けられているわけではありません。ただし、実務上はいくつかの負担や注意点が伴います。
自分で申請する場合に整理すべき要件
自分で申請する場合、まず整理しておきたいのが必要となる要件と書類です。公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する収集・運搬課程の講習修了証の取得、車両・容器などの運搬施設の確認、そして事業を継続的に行えるだけの経理的基礎を示す決算書類の準備が必要です。加えて、申請者本人や役員等が欠格要件に該当しないことも確認しなければなりません。これらの様式や添付書類は都道府県ごとに細部が異なるため、事前に提出先の手引を確認することが欠かせません。また、収集運搬を行う地域が複数の都道府県にまたがる場合は、それぞれの都道府県で個別に申請する必要がある点にも注意が必要です。
費用の内訳――実費と行政書士報酬
費用の面では、行政書士に依頼するかどうかにかかわらず必ず発生する実費があります。申請時に納付する法定手数料は全国一律で新規申請が81,000円、更新申請が73,000円とされており、これに加えてJWセンターが実施する講習会の受講料がオンライン形式で27,500円、対面形式で33,000円(税込・新規講習会)かかります。行政書士に依頼する場合は、これらの実費に加えて報酬が発生し、積替え保管の有無や依頼先によって金額の幅は大きく異なります。自分で申請すればこの報酬部分は不要になりますが、その分の作業をすべて自社で担う必要があります。
自分で申請するメリットと負担
自分で申請を行う最大のメリットは、この報酬部分のコストを抑えられる点にあります。一方で、書類の収集・作成や都道府県窓口とのやり取り、審査期間中に生じる補正対応などには一定の時間と手間がかかります。とりわけ経理的基礎の判断基準や添付書類の要否は都道府県によって運用が異なる場合があり、不備があれば審査が長期化することも考えられます。事業開始までのスケジュールに余裕があり、社内に手続きを担当できる人員を確保できる場合には、自分で申請を進める選択肢も十分に考えられます。
行政書士に依頼する場合に期待できること
行政書士に依頼する場合は、要件の事前確認による不許可リスクの低減や、書類作成の効率化、複数都道府県への同時申請への対応など、実務面でのサポートを受けられる点が特徴です。また許可取得後の更新・変更手続きまで継続的に相談できる体制が整っている点も、依頼を検討する際の判断材料となります。特に事業開始までの期限が決まっている場合や、複数の都道府県で同時に許可を取得したい場合には、専門家に依頼することで手続き全体の見通しが立てやすくなります。
判断のポイントは費用だけではない
自分で申請するか行政書士に依頼するかは、事業者ごとの時間的余力や書類作成の経験、事業開始までのスケジュールの余裕度によって判断が分かれます。費用だけを比較すると自分で申請する方が安く見えますが、許可取得までにかかる時間や、書類の不備による審査の長期化、不許可となった場合のリスクも含めて、総合的に検討することが望ましいといえます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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