産業廃棄物収集運搬業の許可申請で、意外とつまずきやすいのが運搬容器の写真です。ドラム缶やフレコンバッグは規格品ですから、「メーカーのカタログやネット上の画像を貼れば足りるのでは」と考える方は少なくありません。ところが自治体によっては、それを出した時点で差し戻しになります。同じ廃棄物処理法に基づく申請で、しかも様式は全国共通なのに、なぜこれほど扱いが違うのか。ここでは、その分かれ目と現場での備え方を整理します。

そもそも運搬容器の書類は何のためにあるのか

 収集運搬業の許可では、事業の用に供する施設が基準に適合しているかどうかが審査されます。運搬車両だけでなく、飛散や流出、悪臭を防ぐために使う容器も、この「施設」に含まれます。省令で定める様式第六号の二では第七面が運搬容器等にあたる欄で、容器の名称・用途・容量とあわせて資料を添えることになります。つまり写真は、その容器が申請した廃棄物の性状に見合っているかを確認するための資料なのです。

「構造図又は写真」で足りる自治体もある

 自治体によっては、運搬容器や車両に関する資料を写真又は構造図と案内しており、いずれかがそろっていれば受理されます。愛知県の注意事項もこの書き方です。容器の形状・材質・容量が分かれば目的を達するという考え方が前提にあり、メーカーの構造図やカタログの写しが使えるケースもあります。容器の仕様が確認できることに重点が置かれているわけです。愛知県ではあわせて、添付書類は運搬車両一覧の記載順にそろえるよう案内されており、どの車両でどの容器を使うのかが対応づけて読み取れる状態にしておくことが求められます。書類の中身だけでなく、並べ方まで指定されている点は覚えておいて損はありません。

東京都は実物の所有を写真で証明させる

 一方、東京都は運搬容器等の写真について、パンフレットやホームページ上の写真は不可と明記しています。求められるのは、申請者が実際に所有している容器を、登録車両のナンバープレートや産業廃棄物収集運搬車の表示の前で撮影した写真です。会社名の入った印刷物や社員証と一緒に写しても証明にはならないとされ、一種類につき一枚、オープンドラムなら留め金具と蓋も一緒に写す必要があります。ここでのねらいは仕様の確認ではなく、その容器を現に持っているという事実の確認です。同じ様式でも、自治体が何を確かめたいかで求められる写真は変わります。

撮り直しを防ぐために

 実務では、まず申請先の手引きと様式の注意書きを読み込むところから始めてください。不鮮明な写真や合成が疑われる写真は再提出になりますし、撮影日の記入を求められることもあります。撮影は容器の全体が枠に収まる距離で、屋外の明るい時間帯に行うのが確実です。東京都のようにカラーでの提出を求めるところもありますから、印刷したときに容器の材質や色味まで判別できるかを目視で確かめてから綴じてください。複数の営業所で容器を分けて保管している場合は、どこで撮ったものかを整理しておくと、窓口での説明もスムーズになります。東京都では更新申請の際、継続して使う容器の写真は不要とされていますが、収める廃棄物の種類が変わる場合は新たに添付が必要です。この例外は見落とされがちなので注意してください。そして忘れてはならないのが、虚偽の申請により許可を受けた場合は許可が取り消され、取消しの日から五年間は新たな申請ができないということ。手元にない容器の画像を安易に流用することは、避けなければなりません。撮影の手間を惜しまないことが、結果として事業を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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