食品工場や医薬品メーカーから出る残さの収集運搬を任されたとき、「どんな容器に入れて運べばいいのか」で迷う方は多いのではないでしょうか。廃棄物処理法を読んでも、品目ごとに「この容器を使いなさい」という一覧表は出てきません。だからといって何でもよいわけではなく、実際には廃棄物の性状から逆算して容器を選ぶことが必要です。ここでは、動植物性残さの運搬容器について、条文の考え方と現場での選び方を整理します。

動植物性残さは「腐敗物」として扱われる廃棄物

 動植物性残さとは、食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物をいいます(施行令第2条第4号)。同じ食品くずでも、飲食店や小売店から出たものは一般廃棄物になるため、排出業種によって区分が変わる点は最初に押さえておきたいところです。そして見落とされがちなのが、施行令第6条第1項第3号ヲが埋立処分の基準のなかで、焼却や固型化を経ていない動植物性残さを「腐敗物」として扱っていることです。法令自体が、この品目を腐りやすいものとして想定しているわけです。運搬容器を考えるうえでも、この前提が出発点になります。

法令が定めているのは容器の種類ではなく性能

 産業廃棄物の収集運搬にあたっては、施行令第6条第1項第1号により、施行令第3条第1号イからニまでの規定の例によることとされています。このうち運搬容器を直接扱っているのが同号ハで、次のように定められています。

運搬車、運搬容器及び運搬用パイプラインは、一般廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのないものであること。

 条文は一般廃棄物についての規定ですが、産業廃棄物の収集運搬にもこの例によることとされています。示されているのは飛散しない・流出しない・悪臭が漏れないという三つの性能だけで、材質やサイズの指定はありません。つまり特定の容器が名指しされているわけではなく、扱う廃棄物の性状に応じて自ら判断する仕組みです。動植物性残さは水分を多く含み、時間の経過とともに汚水と悪臭が発生するため、この三つを満たすハードルは決して低くありません。

実務で使われている容器と車両の組み合わせ

 実際の現場では、ドラム缶(オープンドラム)や蓋付きの密閉容器が使われることが多くなっています。上部が開くタイプは固形物を投入しやすく、運搬時に蓋を確実に締めれば悪臭の漏れも抑えられるためです。車両側では、水密仕様のダンプや密閉コンテナ車が組み合わされます。荷台にシートをかけただけでは走行中の振動で汚水がにじみ出るおそれがあり、流出防止の観点から不十分と判断されかねません。容器と車両はセットで考えるのが基本です。

積替え保管を行う場合はさらに注意が必要

 途中で積替え保管を行うのであれば、保管場所についての基準も加わります。汚水が生ずるおそれがある場合は排水溝などの設備を設け、底面を不浸透性の材料で覆うことが必要ですし、ねずみや蚊、はえなどの害虫が発生しないようにすることも求められています。保管量の上限は1日あたりの平均的な搬出量の7日分ですが、腐敗しやすい動植物性残さでは、その日数を待たずに性状が変わってしまうことも珍しくありません。上限いっぱいまで置けると考えず、早めに搬出する運用が現実的です。

 容器の選定は単なる備品の問題ではなく、処理基準の遵守そのものです。自社が扱う残さの性状を具体的に確認したうえで容器と車両を決めておくことが、結果として事業を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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