海外への輸出やリサイクル目的の輸入について、お問い合わせをいただくことが増えています。多くの方が最初につまずくのは、「そもそもどの法律のどの手続きが必要なのか」という点です。廃棄物の越境移動にはバーゼル法・外為法・廃棄物処理法という三つの法律が関わり、それぞれ役割が違います。ここでは全体像を整理します。

三つの法律が担う役割

 バーゼル法(正式名称は特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律)は、バーゼル条約の国内担保法で、経済産業省と環境省の共管です。有害な特性をもつ貨物の越境移動を管理します。外為法は、実際に貨物を国境を越えて動かすための輸出承認・輸入承認を扱います。そして廃棄物処理法は、国内法上の「廃棄物」に当たるものについて環境大臣の確認や許可を求めます。入口は分かれていても、最終的にはこの三つが連動して一つの流れをつくっています。

対象範囲が重なる点に注意が必要です

 実務で混乱しやすいのは、バーゼル法と廃棄物処理法の対象範囲が一致しないことです。廃棄物処理法は国内法上の廃棄物を対象としますが、バーゼル法は有害な特性があれば、取引価値のあるいわゆる有価物でも規制対象になり得ます。逆に、廃棄物処理法上の廃棄物であっても、有害性がなければバーゼル法の対象外となることもあります。貨物によっては両方の手続きが必要になるため、片方だけを確認して安心しないことが大切です。なお廃棄物処理法は、輸入について次の考え方を置いています。

輸出するときの流れ

 特定有害廃棄物等を輸出する場合、バーゼル法第4条第1項により外為法第48条第3項に基づく経済産業大臣の輸出承認が必要です。承認に先立ち、環境省を通じて相手国へ移動計画が事前通告され、輸入国等から書面による同意を得ることが求められます。また省令で定める地域を仕向地とする所定の貨物については、同法第4条第3項により環境大臣が汚染防止措置を確認し、その通知を受けるまで経済産業大臣は承認できません。運搬時は第6条第1項により輸出移動書類の携帯が必要で、廃棄物にも当たる場合は廃棄物処理法第10条第1項(産業廃棄物は第15条の4の7第1項で準用)に基づく輸出確認も要ります。

輸入は「承認」と「許可」を分けて考える

 輸入では、バーゼル法第8条第1項により外為法第52条に基づく経済産業大臣の輸入承認を受けます。環境大臣は同条第2項に基づき意見を述べることができ、運搬や処分の際は第10条第1項により輸入移動書類の携帯が必要です。廃棄物処理法上の廃棄物であれば、第15条の4の5第1項に基づく環境大臣の輸入許可も受けなければなりません。なお、輸入する事業者と再生利用等を行う事業者の双方が認定を受けている場合は、輸入承認が不要となる仕組みもあります。

国内の運搬区間も忘れずに

 国境をまたぐ手続きに目が行きがちですが、輸入された廃棄物は原則として産業廃棄物として扱われます(法第2条第4項第2号)。港から処理施設まで国内を運ぶ区間には、通常どおり産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。品目が許可の範囲に含まれているかも、あわせて確認しておきましょう。判断に迷うときは環境省や経済産業省の窓口に事前相談ができます。早い段階で該当性を確かめておくことが、後の手戻りを防ぎ、事業を守ることにつながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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