
手引きに目を通したものの、様式の数と添付書類の多さに手が止まってしまった。産業廃棄物収集運搬業の許可をお考えの方から、こうした声をよくいただきます。「自分で申請できるのか、それとも専門家に頼むべきなのか」という迷いは、費用だけの問題ではありません。ここでは、ご自身で申請する場合と行政書士に依頼する場合とで、実際に何が変わるのかを整理します。
結論――本人申請は法律上まったく問題ありません
まず前提として、産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、事業者ご自身で行うことができます。代理人を立てなければならない決まりはなく、代表者やご担当者が手引きに沿って書類をそろえ、窓口へ提出することは何ら差し支えありません。違いが出るのは「できるかどうか」ではなく、「どこでつまずき、どれだけ時間がかかるか」という点です。
そもそも何を審査される許可なのか
産業廃棄物の収集運搬を業として行う場合、廃棄物処理法第14条第1項により、積卸しを行う区域を管轄する都道府県知事の許可が必要です。有効期間は同条第2項に基づき、通常は5年ごとの更新です。許可基準のうち申請者の能力については、施行規則第10条第2号が次のように定めています。
二 申請者の能力に係る基準
イ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
ロ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。
条文だけを読むと「知識と技能があり、経理的基礎があればよい」という、ずいぶんシンプルな内容に見えます。ところが実務では、この抽象的な基準を満たすことを資料で示さねばならず、そこが最初の関門です。
申請前に確認しておきたいこと
ご自身で進めるなら、着手前に次の点を確かめてください。定款や登記の目的欄に産業廃棄物の収集運搬に関する記載があるか、役員や政令使用人に欠格要件へ該当する方がいないか、そして運搬に使う車両の車検証の名義が申請者本人かです。ここが整っていないと、書類をどれだけ丁寧に作っても手前で止まります。
必要書類・車両・講習・決算をそろえる順番
準備するのは、JWセンターの講習会修了証、事業計画の概要を記載した書類、運搬車両の車検証と写真、運搬容器の写真、登記事項証明書や住民票、納税証明書、そして直前3期分の決算書などです。講習は申請前に修了しておく必要があり、日程によっては受講まで待ち時間が生じます。決算書がそろわない新設法人では、中小企業診断士による経営診断書を求められることが一般的です。この順番を取り違えると、申請そのものが後ろへずれ込みます。
都道府県によって取扱いが違う点
全国共通の法令に基づく許可ですが、提出様式や添付資料の体裁は自治体ごとに異なります。車両写真の撮り方や、経理的基礎の疎明資料をどこまで求めるかなど、運用に差があります。積込みと荷降ろしの両方の都道府県で許可が必要ですから、複数県なら県ごとに手引きを読み直す作業が発生します。
行政書士に依頼するとどこが変わるか
依頼した場合の一番の違いは、「自分が何を知らないのかを調べる時間」が要らなくなることです。要件を満たせるかの見立て、窓口との事前相談、書類の収集と作成、補正対応までを任せられるため、本業を止めずに進められます。つまずきやすい論点を先に潰しておけることが、時間の無駄を防ぎます。
自分で進めて手が止まったら、その段階でご相談ください
途中まで自分でやってみた、という段階からのご相談でもまったく遅くありません。行政書士吉田哲朗事務所では、すでに集めた書類を拝見したうえで、そのまま本人申請で進めたほうがよいのか、代理申請に切り替えたほうが早いのかも含めてお話しします。まず要件を満たせるかを確認しておくことが、遠回りを避ける近道です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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