
産業廃棄物収集運搬業の許可を取ろうと手引きを開いたものの、書類の多さに圧倒されて手が止まってしまった。あるいは元請会社から「許可を取ってほしい」と言われたものの、何から始めればよいのか分からない。そうした段階でご相談をいただくことは少なくありません。ここでは、行政書士に依頼する場合に相談から申請までがどのように進むのかを、順を追って整理します。
結論――最初の相談で、見通しはおおむね立ちます
結論から言えば、最初の相談の段階で、許可取得の見通しはおおむね立ちます。産業廃棄物収集運搬業の許可要件は廃棄物処理法第14条第1項に定められており、確認すべき項目は決まっているためです。講習の修了・運搬車両・経理的基礎・欠格要件という四つの柱について聞き取りを行えば、申請できる時期の目安まで見えてきます。
どこに申請するのかを最初に確定させる
収集運搬業の許可は、積込みを行う区域と荷降ろしを行う区域の双方について必要です。愛知県から岐阜県へ運ぶのであれば、愛知県と岐阜県の二つの許可が要ります。ここで誤解が多いのが市の扱いです。積替え保管を行わない収集運搬であれば、平成23年4月1日施行の施行令改正により許可が県へ一元化されており、愛知県知事の許可だけで名古屋市を含む県内全域を運搬できます。一方、積替え保管を行う場合は扱いが異なり、その施設を政令指定都市である名古屋市、中核市である豊橋市・岡崎市・一宮市・豊田市に置くときは、当該市長の許可も必要になります。
相談の前に確認しておきたいこと
相談前に手元へ用意しておくと話が早く進むのは、直近三期分の決算書、使用予定車両の車検証の写し、そして講習の修了証です。まだ受講していない場合でも相談は可能ですが、修了証は申請時点で必要となるため、日程の確保が最初の課題になります。あわせて、運搬したい廃棄物の品目とどこからどこへ運ぶのかを整理しておくと、必要な許可の範囲がその場で固まります。
相談から申請までの流れ
実際の手続は、①相談・要件診断 → ②見積りとご依頼 → ③必要書類の収集と申請書の作成 → ④行政庁への申請 → ⑤許可証の受領という順に進みます。愛知県では標準処理期間が39日(土曜・日曜・祝日を除く)と公表されており、県自身も事業を始めたい時期の約2か月前に提出するよう案内しています。審査期間そのものは短縮できませんから、必要な時期から逆算して動き出すことが、結果としていちばんの近道になります。
必要書類・車両・講習・経理的基礎
準備する中身は、登記事項証明書・住民票・登記されていないことの証明書・身分証明書など欠格要件を確認するための書類、車両の写真や使用権原を示す資料、そして財務内容を示す決算書に大きく分かれます。設立して間もない法人などで決算書が揃わない場合には、中小企業診断士が作成する経営診断書の提出を求められることがあります。申請手数料は新規で81,000円、更新は73,000円で、これは行政庁へ納める実費です。
都道府県によって運用が異なる点
見落とされやすいのが、求められる様式や添付資料の細部が自治体ごとに異なるという点です。車両写真の撮り方、車検証の提出形式、県独自様式の指定など、手引きを読み替える作業が必ず発生します。複数県へ申請する場合には、この読み替えが県の数だけ重なるため、あらかじめ全体を見渡して進め方を決めておくことが大切です。
行政書士に依頼する意味
行政書士は、官公署に提出する書類の作成と、その提出手続についての代理を業として行うことができる国家資格者です(行政書士法第1条の2、第1条の3)。要件が不足している場合に何をいつまでに整えればよいかを具体的に示せること、そして行政庁との補正のやり取りを代わりに担えることが、実務上の大きな利点だといえます。早い段階でご相談いただくことが、許可取得までの時間を確実に縮めることにつながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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