会社を設立したばかりで、これから産業廃棄物の収集運搬を始めたい。そんなとき最初に気になるのが、決算書も納税証明書もない状態で許可申請ができるのかという点ではないでしょうか。取引先から「産廃許可を取ってから来てほしい」と言われ、慌てて調べ始めたという方も少なくありません。結論からお伝えすると、設立直後の法人でも産業廃棄物収集運搬業の許可申請はできます。廃棄物処理法に「営業実績が何年以上必要」という要件はありません。ただし実績がない分、経理的基礎の証明方法が通常の申請とは異なります。

決算実績がない会社はどう審査されるのか

 許可の要件のひとつに、事業を的確かつ継続して行うに足りる経理的基礎があります。愛知県の審査基準では、営業実績が3年未満の法人・個人について、今後5年間の収支計画に基づく経営診断書を申請書に添付し、5年以内に健全な経営の軌道に乗ることを証明できることが基準とされています。この経営診断書を作成できるのは中小企業診断士または公認会計士に限られます。あわせて、通常は直前3年分の法人税の納税証明書を添付しますが、新規法人で3年分を証明できない場合は、理由書と経営診断書を添付する取扱いです。つまり設立直後の申請では、経営診断書の手配が実質的な出発点になります。

講習会の修了証は設立前の受講でも使える?

 修了証は受講した個人に交付されるため、会社設立前に受講したものでも申請に使えます。愛知県では、受講者は法人の代表者かその業務を行う役員(監査役を除く)などとされ、新規許可申請の場合は申請の日から起算して5年前の日までの間に修了した新規許可講習が有効とされています。なお、すでに収集運搬業の許可を持つ個人事業者が法人化するケースでは、同一の方が受講していれば更新許可講習の修了証も使える取扱いがあります。

車両と資金計画で見落としやすい点

 運搬車両の車検証の名義が代表者個人のままというケースは非常に多く見られます。他人の車両を借りて使う場合は賃貸借契約書等の写しが必要で、名義貸しの内容とならないこと、1年以上の一定期間、継続して使用できることが求められます。また、事業の開始に要する資金の総額と調達方法を記載した書類も添付します。借入で賄う場合は融資証明書と返済計画が、資金調達が不要な場合はその理由の明記が求められます。

取扱いは自治体ごとに異なります

 設立直後の法人に何を求めるかは行政庁ごとに違い、1期目の決算が確定していない場合に会社法上の貸借対照表(開始貸借対照表)の提出を求める自治体もあります。愛知県では新規許可の手数料は81,000円、標準処理期間は39日(土日祝を除く)で、申請は窓口へ持参する取扱いです。事業を始めたい時期のおよそ2か月前を目安に、まず所管の窓口へ事前相談することが確実です。

設立直後だからこそ準備の順序が大切です

 定款や登記事項証明書の事業目的、講習会の受講、車両の名義、そして経営診断書の手配——設立直後の申請では、これらを逆算して並べ直すことが結果として最短ルートになります。設立というスタートを切った今だからこそ、必要な準備を早めに整えておくことが、事業を守ることにつながります。

 設立したばかりで決算書がない、経営診断書をどう用意すればよいか分からない——そうしたご相談は少なくありません。会社設立から許可取得までの段取りについて、状況をうかがったうえで整理いたします。

【産業廃棄物収集運搬業許可について相談する】

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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