
出発点は「事業活動」と「法令で定める種類」
「うちの事業所から出たごみは、産業廃棄物になるのでしょうか」というご相談は数多く寄せられます。同じ紙くずでも、産業廃棄物として扱われる場合と一般廃棄物として扱われる場合があり、見た目や量だけでは判断できません。廃棄物処理法は、先に産業廃棄物を定義し、それ以外をすべて一般廃棄物としています。したがって確認すべきは、「事業活動に伴って生じた廃棄物か」と「法令で列挙された種類に当たるか」の二点です。事業所から出たごみだからすべて産業廃棄物になる、という理解は誤りですので、まずこの前提を押さえてください。
法律上の定義と20種類の区分
この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。(廃棄物処理法第2条第2項)
事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物(同法第2条第4項第1号)
産業廃棄物は、法第2条第4項と施行令第2条をあわせて、整理として20種類に区分されます。汚泥・廃油・廃プラスチック類・金属くず・ガラスくず等は、業種を問わず、事業活動に伴って生じれば産業廃棄物に該当します。ここでいう事業活動は製造業や建設業に限られず、オフィスや商店などの商業活動、学校等の公共的事業も含む広い概念として捉えられています。規模の大小は区分に影響しませんので、少量だから一般廃棄物として出してよい、という判断は成り立ちません。
業種によって扱いが変わる7品目に注意する
特に注意が必要なのが、排出した業種によって区分が変わる品目です。紙くず・木くず・繊維くず・動植物性残さ・動物系固形不要物・動物のふん尿・動物の死体の7品目は、政令で指定された業種の事業活動から生じた場合にのみ産業廃棄物となります。たとえば紙くずは、建設業(工作物の新築・改築・除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業が対象で、一般の事務所から出るコピー用紙は事業系一般廃棄物です。業種は日本標準産業分類により判断しますので、自社がどの分類に位置づけられるかを先に確認しておくと、判断のぶれが小さくなります。
区分が変われば責任も許可も変わる
産業廃棄物は、法第3条第1項により排出事業者が自らの責任で適正に処理する義務を負います。委託する場合は都道府県知事等の許可を受けた業者を選び、書面による委託契約とマニフェストの交付が必要です。一方、一般廃棄物は法第6条の2第1項により市町村に処理責任があり、委託先は市町村長の許可を受けた業者となります。事業系一般廃棄物にマニフェストの法的義務はありません。なお、法令の枠組みは全国共通でも運用の細部は自治体ごとに異なり、搬入方法や施設への直接持込みの可否などは、愛知県内でも市町村ごとに取扱いが分かれる場合があります。
区分を誤ったときのリスク
産業廃棄物を許可のない業者に委託した場合、法第12条第5項違反として法第25条第1項第6号により5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科の対象となります。また、許可業者への委託であっても書面契約を欠くなど委託基準に違反すれば、法第26条第1号により3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科となります。区分の誤りは委託した側の責任に直結するという点を、必ず押さえておいてください。
迷ったときは早めに確認することが有効です
自社の排出品目がどの区分に当たるかは、業種の位置づけや発生工程まで踏まえた検討が必要になります。行政書士に相談すれば、排出品目の整理から必要となる許可の種類、自治体ごとの運用確認まで一貫して進められ、許可申請が必要な場合はそのまま手続へ移れます。早い段階で区分を確認しておくことが、結果として事業を守ることにつながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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