
産業廃棄物収集運搬業の許可を取ろうと動き始めたとき、「運ぶ先の処分場がまだ決まっていないのに、申請してよいのだろうか」と手が止まる方は少なくありません。元請から急に許可の取得を求められた場合ほど、取引先も搬入先も固まらないまま相談に来られます。処分先が決まってから動くべきなのか、それとも先に申請を進めてよいのか。判断を誤ると、待たなくてよい期間をただ待つことになりかねません。ここでは、処分先が未定の段階で申請できるのかという点を、法令上の要件と申請実務の両面から整理します。
結論:処分先が未定でも申請はできます
結論から言えば、処分先が確定していないこと自体は、許可を受けられない理由にはなりません。廃棄物処理法施行規則第10条が定める許可の基準は、飛散・流出・悪臭のおそれのない運搬車や運搬容器を有していること(施設に係る基準)と、収集運搬を的確かつ継続して行うに足りる知識技能および経理的基礎を有していること(能力に係る基準)の二つです。ここに「処分先を確保していること」という要件は置かれていません。加えて欠格要件に該当しないことが求められますが、これも処分先の有無とは関係しない事項です。
それでも運搬先を聞かれる理由
では、なぜ申請書で運搬先を尋ねられるのか。理由は、事業計画の概要に、取り扱う品目や想定される排出事業者とあわせて運搬先を記載する欄が設けられているためです。これは許可要件そのものではなく、どのような事業を行おうとしているのかという実態を確認するための記載です。実務では予定として記載する取扱いが一般的ですが、どこまで具体性を求めるかは窓口によって差があります。記載した内容と実際の運搬が食い違わないよう、想定できる範囲で書いておくことが大切です。
申請先が決まらないという壁
むしろ注意したいのは、申請先の決め方のほうです。収集運搬業の許可は、廃棄物を積み込む場所と荷を降ろす場所、その両方の都道府県知事から受ける必要があります。処分先の県すら見えていない状態では、どこへ申請すべきかが決まらず、手続きそのものが動きません。逆に言えば、搬入先の候補となる県の見当さえつけば、そこから準備を進められます。まずは元請や取引先に、廃棄物をどのあたりへ運ぶ想定なのかを確認してみてください。
処分先が未定でも進められること
そもそも処分先を選ぶのは、排出事業者の役割です。処分の委託契約は、排出事業者と処分業者との間で直接結ばれるものであり、収集運搬業者が代わりに決める立場にはありません。ですから運搬側は、処分先が固まるのを待つ間に取り扱う品目の絞り込み、運搬車両と運搬容器の準備、車検証や決算書の確認、講習会修了証の有効期限や欠格要件の点検を済ませておけば十分です。これらは処分先が決まった後にまとめて行うより、先に片づけておいたほうが確実に早く進みます。
自治体による違いと、相談の目安
もっとも、運搬先の記載をどこまで求めるか、契約書や覚書の提出を求めるかは都道府県によって取扱いが異なります。確認しないまま書類を整えてしまうと、窓口で作り直しになることもあります。処分先が未定のまま許可の取得を急ぐ場合は、申請先の見立てと書類の整え方を早い段階で相談しておくと、遠回りせずに進められます。まだ何も決まっていない段階でも、確認できることは意外に多くあります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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