事業所で使っていたエアコンやテレビ、冷蔵庫を運ぶことになったとき、申請書の品目欄に何と書けばよいのか迷う方は多いと思います。産業廃棄物の種類には「廃家電」という区分は存在しません。複数の素材が組み合わさった製品であるため、そのまま当てはまる品目がないのです。ここでは、廃家電を収集運搬する際に品目をどう考えればよいのかを整理します。

複合製品は「構成素材ごとの混合物」として判断する

 産業廃棄物の種類は、廃棄物処理法第2条第4項と施行令第2条で定められた区分に限られます。廃家電のような複合製品はこの区分に一対一で対応しないため、製品を構成する素材ごとに分けて判断するという考え方が用いられます。筐体・モーター・配線などが「金属くず」、外装や断熱材が「廃プラスチック類」、画面部分や板ガラスが「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に当たり、これらの混合物として扱われるのが一般的です。廃蛍光管や光ケーブルも同じ考え方で整理されています。注意したいのは、「混合廃棄物」という品目は法令上存在しないという点です。解体せずに製品の形のまま運ぶのであれば、構成するすべての品目について許可が必要になります。

事業所から出た廃家電は産業廃棄物になる

 エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は家電リサイクル法の対象ですが、同じ製品でも家庭から排出されれば一般廃棄物、事業所から排出されれば産業廃棄物に当たります。この点は環境省の施行通知でも示されています。もっとも、小売業者や指定法人、その委託を受けて運ぶ者には、家電リサイクル法第49条により廃棄物処理法上の許可を受けずに収集運搬できる特例が置かれています。また同法第50条では、小売業者の委託を受けた産業廃棄物収集運搬業者が、一般廃棄物である特定家庭用機器廃棄物も運べることとされています。どのルートで運ぶのかによって、必要な許可の範囲は変わってきます。

品目に付加される区分にも注意する

 品目を決めたあとに確認したいのが、水銀とフロンの扱いです。液晶テレビのバックライトに使われる蛍光ランプは水銀使用製品ですが、機器に組み込まれたままの状態では対象外とされ、取り外されたものが水銀使用製品産業廃棄物になります。ただし、製品本体に水銀の使用が表示されている場合は、それだけで対象となります。エアコンについては、家庭用のものは家電リサイクル法のルートでフロンが回収されますが、業務用エアコンは同法の対象外で、フロン排出抑制法の第一種特定製品に当たります。廃棄する管理者にはフロン類を第一種フロン類充填回収業者へ引き渡す義務があり、機器を引き取る側は引取証明書の写しの交付を受けたうえで運搬することになります。

申請と運用で押さえておきたい点

 廃家電を扱う予定があるなら、「金属くず」「廃プラスチック類」「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」の3品目を申請の基本形として検討することになります。そのうえで、運搬先の処分業者がその品目を受け入れられるかも確認してください。なお、特定家庭用機器産業廃棄物を小売業者や認定を受けた製造業者、指定法人に引き渡す場合には、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付は不要とされています。通常の委託とは手続が異なるため、社内のルールを整えておくと安心です。

 廃家電は、品目の判断だけでなく、家電リサイクル法とフロン排出抑制法という別の制度が重なる分野です。どの品目で申請すべきか、自社の運搬ルートで何が必要になるかを確認したい場合は、実際の取扱品目と運搬先を整理したうえでご相談ください。制度が重なる分野ほど、早めに全体像を押さえておくと手続がスムーズに進みます。

【産業廃棄物収集運搬業許可について相談する】

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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