愛知県で産業廃棄物収集運搬業の許可を取り、次は岐阜県や三重県、静岡県にも広げたい。そのようなとき、「同じ書類をもう一部作れば済む」と考えてしまいがちです。ところが窓口に問い合わせてみると、提出先も提出方法も違っていて、準備をやり直すことになる例があります。運搬のみを行う場合は産業廃棄物の積卸しを行う区域ごとに許可が必要になるため、隣県への進出は多くの事業者が通る場面です。ここでは東海4県を例に、自治体ごとの取扱いを先に確認しておく理由を整理します。

法令は共通、運用は自治体ごと

 許可の根拠は廃棄物処理法第14条で、申請書の様式は国の省令で定められています。手数料も政令で標準額が示され、愛知県・静岡県とも収集運搬業の新規許可は81,000円、更新は73,000円です。一方で、どの窓口に出すのか、持参か郵送か、予約や事前審査が必要かといった部分は、各自治体が定める要領や手引きに沿って運用されています。共通なのは制度の骨格までで、手続の進め方まで同じではありません。

窓口と提出方法が分かれます

 愛知県では、県内に本店がある場合はその所在地を管轄する県民事務所等に相談のうえ、申請書を持参して提出します。提出部数は正本と写しの2部です。三重県は、県内に事務所がある事業者は地域機関である環境室、県外の事業者は本庁の廃棄物対策課が窓口で、来庁には事前予約が必要です。郵送を希望する県外事業者は、県の電子申請システムで事前審査を受けてから送付するという流れが案内されています。

手引きの有無や添付書類の指定も違います

 静岡県は主たる営業区域を管轄する健康福祉センターが窓口で、受付は予約制、郵送の可否はセンターごとに異なります。また同県では申請の手引きを作成しておらず、事務取扱要領を参照して書類を整える形です。岐阜県では、電子車検証が交付された車両について、車検証の写しに代えて「自動車検査証記録事項」を提出するよう案内されています。細かい指定ほど、他県の感覚のままでは見落としがちです。

経理的基礎の判断にも幅があります

 許可要件の一つである経理的基礎は、決算内容によって追加資料を求められることがあります。静岡県は、貸借対照表と直近3期の経常利益の状況に応じて、経営改善計画書や中小企業診断士の診断書等の追加提出を求める仕組みを示しています。三重県も審査ガイドラインを公表しています。同じ決算書でも、県によって求められる補強資料が変わる点は見落としやすいところです。

他県の前例がそのまま通るとは限りません

 標準処理期間も自治体ごとに公表されており、愛知県は土日祝を除く39日です。これは不備のない申請が前提で、補正が生じればその分だけ後ろにずれます。許可の有効期間は原則5年、優良認定を受けた場合は7年で、更新時期も県ごとにずれていきます。申請前に各自治体の最新の案内と窓口の運用を押さえておくことが、営業区域の拡大を計画どおり進めることにつながります。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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