「JWセンターの講習を受けて修了証をもらったので、これで産業廃棄物収集運搬業の許可は取れますよね」。こうしたご相談をいただくことは少なくありません。しかし結論から申し上げると、講習修了証は許可要件の一部を満たしたことを示す書類にすぎず、これだけで許可が下りるわけではありません。実際には、申請先の選び方、運搬車両や運搬容器、直近の決算内容など、講習とは別に確認しておくべき事項がいくつもあります。ここでは、講習を終えた方が申請の前に確認しておきたい実務上のポイントを整理します。

講習修了証が証明しているのは要件の一部です

 廃棄物処理法第14条第5項は、許可の基準として「その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するもの」であること、そして申請者が欠格要件のいずれにも該当しないことを定めています。講習修了証が関わるのは、このうち申請者の能力のうち知識及び技能の部分です。裏を返せば、運搬施設、経理的基礎、欠格要件といった残りの要素は、講習の受講状況とはまったく別に審査されるということになります。

受講者の名義と修了証の有効期間

 最初に確認したいのが、誰の名義で受講したかです。法人であれば原則として役員または政令使用人、個人事業であれば事業主ご本人の修了証が必要で、担当者や一般の従業員が受講しても要件を満たさない扱いが一般的です。次が修了証の有効期間です。新規講習の修了証は5年とされることが多い一方、更新講習については2年としている自治体もあれば、愛知県のように平成25年4月1日から更新講習の修了証も5年に変更している例もあり、取扱いが分かれます。申請先の最新の手引きで確認することが欠かせません。

申請先の都道府県と運搬車両・運搬容器

 三つ目は、どの都道府県の許可が必要かという点です。収集運搬業の許可は、産業廃棄物を積み込む場所と荷下ろしする場所のそれぞれの都道府県で必要になります。愛知県で積み込んで岐阜県の処分場へ運ぶのであれば、愛知県と岐阜県の両方の許可が要る、という考え方です。四つ目は運搬車両と運搬容器で、車検証の名義やリース契約の有無、車両への氏名または名称の表示、積み荷が飛散・流出しない構造の容器かどうかが問われます。車両写真の撮り方や必要枚数まで指定している自治体もあるため、準備の段階で確認しておくと手戻りが減ります。

経理的基礎と欠格要件

 五つ目が経理的基礎です。直近の決算内容が審査され、債務超過や連続赤字がある場合には、改善の見込みを説明する資料を求められることがあります。設立して間もなく決算期を迎えていない新設法人では、中小企業診断士や公認会計士が作成する経営診断書が必要になるのが一般的です。そして見落とされやすいのが欠格要件で、役員や政令使用人、一定の株主に該当事由があれば、ほかの要件をすべて満たしていても許可を受けることはできません。

行政書士に依頼するメリット

 これらは講習のテキストどおりに進めれば自動的に整うものではなく、会社の状況によって確認すべき順番も、必要になる資料も変わります。行政書士に依頼する意味は、申請先の手引きを踏まえたうえで、いま足りないものと申請までに用意すべきものを先に切り分けられる点にあります。講習を終えた段階で一度全体を整理しておくことが、申請後の差戻しや準備のやり直しを防ぎ、事業の立ち上げを予定どおり進めることにつながります。「修了証は手元にあるが、自社の場合これで申請できる状態なのか」を確認したい方は、ご相談ください。

講習の受講状況を踏まえて申請準備を整理したい方へ

【産業廃棄物収集運搬業許可について相談する】

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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吉田哲朗
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