廃棄物を適正な処理施設を使用せずに焼却する行為は、廃棄物処理法第16条の2により原則として禁止されています。これがいわゆる「不法焼却」です。

事業活動に伴って発生した産業廃棄物はもちろん、一般廃棄物についても、法令に適合した焼却施設以外で処理することは認められていません。ドラム缶や地面に穴を掘っての焼却、簡易焼却炉での処理などは、原則として違法行為に該当します。

とくに解体現場や工事現場、資材置場、空き地などでの焼却は、近隣住民からの通報により発覚するケースが多く、事業者にとって重大な法的リスクとなります。


なぜ不法焼却が問題となるのか

第一に、環境・健康への影響です。

廃プラスチック類や建設系廃材を不完全燃焼させると、ダイオキシン類などの有害物質が発生するおそれがあります。これらは大気汚染や土壌汚染の原因となり、地域住民の生活環境へ影響を及ぼします。

第二に、火災・事故の危険性です。

管理されていない焼却は延焼の危険を伴い、周囲の建物や山林に被害が拡大する可能性があります。特に乾燥時期や強風時には重大事故につながるおそれがあります。

第三に、厳しい罰則です。

廃棄物処理法では、不法焼却に対して5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科が規定されています。
法人に対しては3億円以下の罰金が科される場合もあります。

さらに、許可業者であれば、行政処分として事業停止や許可取消につながる可能性もあります。単なる軽微な違反ではなく、事業継続に直結する重大な問題です。


「少量だから問題ない」は誤解

「少量だから大丈夫」「木くずだけなら問題ない」という認識は誤りです。

焼却禁止は量によって判断されるものではなく、法令に適合した方法かどうかが基準です。

例外として、農業者が自己の農地で生じた一部の廃棄物を焼却する場合など、政令で限定された例外規定は存在します。しかし、これらは極めて限定的であり、事業活動に伴う廃棄物の焼却は原則として認められていません。

また、例外に該当する場合であっても、生活環境に支障を生じさせるおそれがあるときは、行政指導等の対象となる可能性があります。


排出事業者責任との関係

産業廃棄物については、排出事業者責任の原則があります。

事業者は、自らが排出した廃棄物について、最終処分まで適正に処理されるよう管理する責任を負います。不法焼却が行われれば、その行為者だけでなく、排出事業者の管理体制も厳しく問われる可能性があります。

「自社敷地内だから自由に処理できる」という考え方は通用しません。


事業者が取るべき対応

不法焼却を防止するため、事業者は次の点を徹底する必要があります。

1.許可を受けた処理業者への適正委託
2.産業廃棄物管理票(マニフェスト)の適切な運用
3.現場責任者・従業員への法令教育
4.現場巡回や内部チェック体制の構築

一時的なコスト削減のための不適切処理は、結果として企業の信用と事業継続を損なうリスクを伴います。


まとめ

不法焼却は、環境問題であると同時に、重大な法令違反です。

法令遵守は単なる義務ではなく、企業の信頼を守るための基本姿勢でもあります。

適正処理体制を整備し、現場レベルまで周知徹底することが、長期的な事業安定につながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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