
産業廃棄物の処理は、原則として排出事業者が自らの責任で適正に行うことが廃棄物処理法で定められています。
一方で、親会社と子会社など、実質的に一体として経営されている複数の事業者が関与する場合、通常の整理では実務に支障が生じるケースもあります。
こうした事情を踏まえ、廃棄物処理法では一定の要件を満たす場合に限り、二以上の事業者による産業廃棄物処理についての特例が設けられています。
特例の制度趣旨と位置づけ
この特例は、
親子会社等が一体的な経営の下で事業活動を行っている場合に、都道府県知事等の認定を受けることで、
産業廃棄物処理業の許可を受けずに、グループ内で収集運搬や処分を相互に行える
ようにする制度です。
排出事業者責任を免除する制度ではなく、あくまで許可制度の例外として限定的に認められる仕組みである点が重要です。
対象となる事業者の範囲
この特例は、単に複数の事業者が関係している場合に使える制度ではありません。
対象となるのは、施行規則で定められた「一体的な経営」の要件を満たす親子会社等です。
具体的には、次のような関係が想定されています。
- 100%の株式保有関係がある場合
- 3分の2以上の株式保有に加え、役員派遣や事業の連続性が認められる場合
同一敷地内で事業を行っているだけ、単なる業務提携関係にあるだけでは、この特例の対象にはなりません。
認定の対象となる処理内容
特例が認められるのは、親子会社等のグループ内で、収集運搬または処分を一体として行う場合です。
単に保管場所を共用しているだけ、混合した廃棄物を外部業者に委託するだけといった形態では、原則として認定の対象になりません。
グループ外へ委託する場合の注意点
認定を受けている場合であっても、処理をグループ外の業者へ委託する場合には、通常の排出事業者責任が前提となります。
この場合、
- 親子会社等が共同して処理委託契約を締結すること
- 共同でマニフェストを交付・管理すること
が求められます。
実務上の重要ポイント
この特例は、法令上明確な要件が定められている一方、具体的な認定判断は行政庁による個別審査となります。
そのため、
- 経営関係・管理体制の整理
- 処理フローの明確化
- 事前相談による運用確認
を行わずに進めることは、リスクが高いといえます。
まとめ
二以上の事業者による産業廃棄物処理の特例は、一体的な経営関係にある親子会社等が、認定を受けたうえで、
グループ内で処理を行う場合に限って認められる制度です。
安易な適用は認められず、制度の前提・要件・実務運用を正確に理解したうえでの対応が不可欠です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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