
工場団地や複合施設など、同一敷地内に複数の企業が入居している場合、産業廃棄物の処理委託契約の整理を誤ると、排出事業者責任が不明確になり、行政指導の対象となるおそれがあります。
本記事では、排出事業者の考え方と処理委託契約の適正な整理方法について解説します。
排出事業者の基本原則
産業廃棄物処理法においては、廃棄物を排出した事業者が排出事業者となります。
同一敷地内であっても、複数の企業がそれぞれ独立して事業活動を行っている場合、原則として各企業がそれぞれ排出事業者となります。
敷地を共有していることや、管理会社・代表企業が存在することのみを理由に、排出事業者を一本化することはできません。
判断の基準は、どの事業者の事業活動に伴って発生した廃棄物かという点にあります。
同一敷地内で生じやすい誤解
同一敷地内では、次のような誤解が見られます。
- 管理会社や代表企業が一括で処理委託契約を結べばよい
- グループ企業であれば、親会社名義でまとめて契約できる
- 廃棄物の種類が同じであれば、排出事業者をまとめられる
しかし、これらの考え方は原則として適切ではありません。
排出事業者と契約主体、実際の排出実態が一致していない場合、契約やマニフェストの整理について是正を求められる可能性があります。
管理会社・代表企業が関与する場合の整理
同一敷地内に管理会社や代表企業が存在する場合でも、次の点を区別して考える必要があります。
排出事業者責任について
- 排出事業者責任は、原則として各企業に残ります
- 管理会社や親会社が存在しても、排出事業者が自動的に移ることはありません
契約実務上の関与
- 管理会社や代表企業が、各企業から委任を受けて契約締結の窓口になる運用はあり得ます
- ただしその場合でも、排出事業者は各企業であり、責任も各企業に残る点を明確にする必要があります
処理委託契約書作成時の注意点
同一敷地内の複数企業が関与する場合、処理委託契約書では次の事項を明確に記載することが重要です。
- 排出事業者の名称(法人・個人)
- 排出場所(同一敷地内でも具体的な所在地)
- 廃棄物の種類・性状・予定数量
- 契約当事者と責任の範囲
「○○団地一式」「敷地内全体」といった包括的な表現は、実態との不整合が生じやすいため注意が必要です。
行政実務で重視されるポイント
行政庁の確認では、次の点が重視されます。
- 排出事業者と契約名義が一致しているか
- 実際の排出実態と契約内容が整合しているか
- マニフェストの記載内容と契約内容に矛盾がないか
形式的に契約書が整っていても、実態と合っていない場合は、契約や運用の再整理を求められることがあります。
まとめ
同一敷地内に複数の企業が存在する場合でも、産業廃棄物の排出事業者は原則として企業ごとに判断されます。
処理委託契約を簡略化しようとして一括処理を行うと、結果として排出事業者責任が不明確になり、リスクを高めることになりかねません。
契約書作成や運用にあたっては、排出主体・契約主体・実態の一致を意識した整理が不可欠です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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