廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)は、法の目的や国民の責務を定めた冒頭規定に続き、第3条において事業者の責務を定めています。この規定は、産業廃棄物処理の制度全体を支える根幹的な条文であり、廃棄物を排出するあらゆる事業者が把握しておくべき基本的な内容が凝縮されています。法の体系上、国・地方公共団体の責務(第4条)よりも前に事業者の責務が規定されている点にも、立法の重心が見てとれます。

第1項 自らの責任による適正処理

 第3条第1項は、次のとおり規定しています。

事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

これが排出事業者責任の根拠規定です。事業者は、事業活動から生じたすべての廃棄物について、自ら処理する責任を負います。産業廃棄物か一般廃棄物かを問わず、また業種や廃棄物の種類に関係なく、排出した事業者としての責任は法律上明確に課されています。廃棄物の発生源において責任を負わせることで、適正処理の徹底と不法投棄の抑止を図るというのが、この規定の基本的な考え方です。

重要なのは、「処理業者に委託したから責任は終わり」ではないという点です。廃棄物処理法第11条第1項においても「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない」と規定されており、処理委託はあくまでも「委託」であって、責任そのものが処理業者に移転するわけではありません。委託先が不適正処理を行った場合、排出事業者も措置命令の対象となりうることを念頭に置く必要があります。このことは、委託先の処理状況を継続的に確認することが排出事業者にとっていかに重要かを示しています。

第2項 廃棄物の減量と製品設計への配慮

 第3条第2項では、廃棄物の減量努力と、製品・容器等の製造・販売に際しての設計段階からの配慮が求められています。具体的には、廃棄物が生じた際に適正処理が困難とならないよう、製品・容器等の開発段階においてあらかじめ自ら評価し、対応することが義務とされています。製品を「作る段階」から廃棄物管理を意識することが法的に要請されており、いわゆるリデュース・リサイクルへの取り組みも、この規定の趣旨に沿ったものといえます。

第3項 国・地方公共団体の施策への協力

 第3条第3項は、前2項に定めるもののほか、廃棄物の減量やその適正な処理の確保等に関し、国及び地方公共団体の施策に協力しなければならないと定めています。訓示的な性格を持つ規定ですが、国や都道府県が展開する廃棄物関連施策への積極的な関与が、法律上の責務として位置づけられている点は実務上も意識しておく必要があります。産業廃棄物の処理計画や各種届出制度への対応も、この協力義務の延長線上にあります。

排出事業者責任の実務的な含意

 第3条の責務は、産業廃棄物処理の各種義務の出発点となっています。許可業者への適切な委託(第12条)、マニフェストの交付・管理(第12条の3)、委託契約書の整備(施行令第6条の2)など、一連の制度的義務はすべてこの排出事業者責任を具体化したものです。処理を委託した後も、廃棄物が最終処分されるまでの行程を把握・確認する努力義務が課されており(第12条第7項)、処理業者の適切な選定と継続的な状況確認が実務上の重要課題となります。

廃棄物処理をめぐる問題は、大規模な不法投棄や不適正処理として社会問題化してきた歴史があります。こうした実態への反省を踏まえ、事業者の責務を正確に理解したうえで、その趣旨に沿った実効性ある廃棄物管理体制を構築することが、コンプライアンスの観点からも、環境保全の観点からも強く求められています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄5丁目19-31 T&Mビル3F-3X
行政書士吉田哲朗事務所
吉田 哲朗
TEL052-380-3173
Mobile:090-6090-0386
Email:info@office-yoshida-te.com
Facebook
Instagram
X(Twitter)

YouTube

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗