産業廃棄物の収集運搬業や処分業の許可を申請する際、どの行政庁に申請すべきかを正しく理解しておくことは非常に重要です。監督官庁と行政庁の役割は法律上明確に区分されており、この仕組みを誤解すると、窓口を間違えるリスクが生じます。ここでは、特に政令指定都市や中核市における権限移譲の範囲を中心に解説します。


1 基本構造

産業廃棄物処理制度は、**廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)**を基盤としています。

  • 環境省(国):制度の基本設計や基準づくり
  • 都道府県知事:原則的な許可権限の主体
  • 政令指定都市・中核市:一部の許可について都道府県から権限移譲を受け、直接許可を行う

2 都道府県知事の権限

原則として、都道府県知事が産業廃棄物の許可権限を持ちます。特に次の業務は、全国一律で都道府県が扱うものです。

  • 産業廃棄物収集運搬業(積替え・保管を含まないもの)

この「積替え・保管を含まない収集運搬業」は、政令市や中核市においても権限移譲されておらず、必ず都道府県に申請する必要があります。


3 政令指定都市・中核市に権限移譲されている許可

一方で、次の許可については政令指定都市や中核市に権限が移譲されています。

  • 産業廃棄物収集運搬業(積替え・保管を含む)
  • 産業廃棄物処分業(中間処分・最終処分)
  • 特別管理産業廃棄物の収集運搬業(積替え・保管を含む)
  • 特別管理産業廃棄物処分業
  • 廃棄物処理施設の設置許可

これらは、大都市部で廃棄物発生量が多く、迅速かつ地域実情に即した監督が求められるため、市が直接権限を持つ仕組みになっています。


4 政令指定都市・中核市が権限を持つ理由

  • 地方自治法に基づく権限移譲:都市規模に応じて、都道府県の役割を市に移すことで行政効率を高める。
  • 産業と人口の集中:大都市では廃棄物処理需要が多く、現場に近い市が直接対応する方が実効性が高い。
  • 迅速な監督体制:市が自ら立入検査や改善命令を出せることで、行政対応がスピーディーになる。

5 国(環境省)の役割

環境省は直接許可を出すわけではありませんが、制度全体の統括者として以下を担います。

  • 廃棄物処理法の改正や通達の発出
  • 都道府県や市への指導・助言
  • 全国的な統計や調査の実施

6 申請者が注意すべき点

  1. 自社所在地の管轄を確認すること
     積替え保管を伴わない収集運搬業は都道府県、それ以外の業務は市に申請する場合がある。
  2. 複数の許可を受ける必要がある場合
     事業範囲が複数の地域に及ぶ場合、それぞれの行政庁で申請する必要がある。
  3. 更新時の通知管理
     都道府県と市では通知の方法やスケジュールが異なるため、見落とし防止体制を整えることが大切。

まとめ

産業廃棄物許可申請は、原則は都道府県知事の権限ですが、政令指定都市・中核市においては積替え保管を含む収集運搬業や処分業など一部の許可が移譲されている点に注意が必要です。申請者は、自社の所在地と事業内容を踏まえ、正しい窓口を選ぶことがスムーズな手続きにつながります。

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