産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するには、法律上「経理的基礎」を備えていることが必須条件です。廃棄物の処理は公共性の高い事業であるため、経営が不安定な事業者に許可を出すことは認められていません。そのため、申請時には確定申告書や経営診断書といった資料の提出が必要になります。ここでは、確定申告書・源泉徴収票・経営診断書の役割を整理して説明します。


1 確定申告書3年分が基本

許可申請における基本は、直近3年分の確定申告書を提出することです。これは、過去の収益や事業実績を確認し、安定した経営を行ってきたかどうかを判断するためです。
3年分を提出することにより、「この事業者は継続的に収益を上げ、廃棄物収集運搬を担える経営基盤を持っている」と評価されやすくなります。


2 新規開業者の課題と源泉徴収票の提出

個人事業を始めたばかりの方は、当然ながら確定申告書3年分を用意できません。この場合、補足資料として**勤め人時代の源泉徴収票(2期分)**を提出するよう求められることがあります。

その理由は次のとおりです。

  • 勤務時代に安定した収入を得ていたことを証明できる
  • 生活基盤がしっかりしていることを示せる
  • 事業開始直後でも経理的基礎を補完できる

つまり、確定申告書が揃わなくても、過去の給与所得を証明することで、収入の安定性と信用力を補強するのです。


3 経営診断書の役割

もう一つ重要な資料が、経営診断書です。これは、中小企業診断士が作成するものであり、税理士では原則として対応できません。

経営診断書には次のような役割があります。

  • 専門家による経営分析
    財務諸表や申告書をもとに、資金繰り・債務状況・収益性などを評価します。
  • 経理的基礎の補強
    確定申告書や源泉徴収票では読み取れない経営の安定性や将来性を客観的に示します。
  • 許可権者への判断材料
    行政が「この事業者は今後も継続して廃棄物を適正に処理できるか」を判断する際の根拠となります。

4 三つの資料の組み合わせ

整理すると、個人事業主が許可申請を行う際には、次の三種類の資料を組み合わせて経理的基礎を示すことになります。

  • 確定申告書(可能な範囲で) → 事業実績の証明
  • 源泉徴収票(2期分) → 生活基盤と収入安定性の証明
  • 経営診断書(中小企業診断士作成) → 経営健全性と将来性の証明

この三点を揃えることで、新規開業者でも「安定した事業運営が可能」と評価され、許可を受けやすくなります。


5 まとめ

産業廃棄物収集運搬業の許可申請においては、確定申告書3年分が原則ですが、新規事業主の場合は不足分を源泉徴収票や経営診断書で補うことができます。

特に経営診断書は、中小企業診断士による専門的な経営分析を通じて「この事業者が長期的に事業を継続できるか」を裏付ける役割を果たします。

許可取得を検討する際には、自身の状況に応じてこれらの資料を早めに準備しておくことが、スムーズな申請につながります。

〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄5丁目19-31 T&Mビル3F-3X
行政書士吉田哲朗事務所
吉田 哲朗
TEL052-380-3173
Mobile:090-6090-0386
Email:info@office-yoshida-te.com
Facebook
Instagram
X(Twitter)

YouTube

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗