事業者が自社で廃棄物を運搬し、処分工程だけを中間処理業者へ委託するケースは珍しくありません。
しかし、この方法には 契約書の組み方・許可の要否・マニフェスト記載方法 など、押さえておくべき実務上の注意点があります。
ここでは、廃棄物処理法の考え方に基づき、この形態で必要となる手続きとポイントを整理します。


1.自社運搬で必要となる基本的な確認事項

自社の事業場で発生した廃棄物を、自社の車両で運搬する場合、「自己運搬」扱いとなり、原則として 収集運搬業許可は不要 です。

ただし、以下の条件を満たす必要があります。

  • 運搬するのは、あくまで自社の排出した廃棄物であること
  • 運搬先は、適正な処分業者(中間処理業者または最終処分場)であること
  • 運搬に使用する車両が安全基準を満たしていること

自己運搬は許可不要であっても、飛散防止・流出防止措置や、必要書類の携帯義務 は通常どおり求められます。


2.処分を委託する場合に必要な「処分委託契約書」

処分工程のみを外部へ委託する場合、排出事業者は 中間処理業者との間で「処分委託契約書」 を締結する必要があります。

契約書には以下の事項が明記されていることが求められます。

  • 廃棄物の種類・数量・性状
  • 処分方法(破砕・選別・焼却・溶融・安定型処分など)
  • 委託料金・支払い方法
  • 緊急時の連絡体制
  • マニフェストに関する取り扱い

特に、中間処理後に二次搬出される場合は、最終処分先の情報についても契約書に記載されていることが重要です。


3.マニフェストの交付方法と記載内容

自社運搬であっても、処分を委託する以上、マニフェストの交付は必須 です。

記載上のポイントは次のとおりです。

  • 運搬受託者欄:空欄または自社名(自己運搬の場合)
  • 処分受託者欄:中間処理業者名を記載
  • 運搬終了欄:排出事業者自身が記入
  • 処分終了欄:中間処理業者が記入

委託先が中間処理業のみの場合は、最終処分終了の確認は 中間処理業者が二次処分先から受け取り、排出事業者へ返送 する形で行われます。


4.中間処理業者を選定する際の注意点

処分だけを委託する場合、以下の点を必ず確認します。

  • 許可証の処分方法が、委託したい内容と一致しているか
  • 取り扱い可能な廃棄物種類(品目)が一致しているか
  • 施設の処理能力・処理実績が十分か
  • 二次搬出のルールが明確にされているか
  • マニフェスト返送(E票・F票)の実務が確立しているか

特に、品目の不一致は重大なトラブルにつながるため、許可証の内容を現物で確認することが不可欠です。


5.委託料と自社運搬コストのバランス

自社運搬は、運搬費用を削減できるメリットがありますが、以下の負担も生じます。

  • 自社ドライバーの人件費
  • 車両維持費・燃料費
  • 運搬管理(安全管理・車両管理)
  • 適正運搬に関する社内教育

処分委託費と運搬自社負担のバランスを見ながら、全体コストと安全性を最適化することが重要です。


6.よくある誤解と実務上の注意点

誤解①:自社運搬ならマニフェストはいらない?
→ 誤りです。処分を委託する以上、マニフェスト交付は必須です。

誤解②:契約書は処分だけだから簡易で良い?
→ 誤りです。中間処理後のフローまで含めた契約が必須です。

誤解③:中間処理業者の許可証は細かく見なくてよい?
→ 非常に危険です。品目不一致による不適正処理リスクがあります。


まとめ

自社で運搬し、処分のみを中間処理業者へ委託する方法は、
コスト面でも実務面でもメリットがあります。

しかし、同時に、

  • 適正な処分委託契約書の締結
  • マニフェストの正しい交付
  • 中間処理業者の許可内容確認
  • 自社運搬に関する安全管理

といった重要なポイントを確実に押さえる必要があります。

これらを正しく管理することで、排出事業者としての責務を果たし、適正処理を確実に実施することにつながります。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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