
使用済自動車は、日常生活や事業活動の中で必ず発生するものですが、その処理には廃棄物処理法だけでなく、自動車リサイクル法など複数の法令が関係します。
そのため、どの段階で何が廃棄物に該当するのかを正しく理解していないと、不適正処理や法令違反につながるおそれがあります。
本記事では、使用済自動車における廃棄物の扱いについて、実務上の考え方を整理します。
使用済自動車とは何か
使用済自動車とは、自動車としての使用を終了し、解体・破砕等を前提とした状態の車両を指します。
事故車、故障車、長期放置車両なども、状況によっては使用済自動車に該当します。
ここで重要なのは、「まだ走るかどうか」ではなく、「使用目的が終了しているか」という点です。
自動車全体は直ちに廃棄物になるわけではない
使用済自動車であっても、車両全体が直ちに廃棄物として扱われるわけではありません。
自動車リサイクル法では、
・解体業者
・破砕業者
といった登録・許可事業者のもとで、部品や資源として適正に処理・再資源化される仕組みが定められています。
この段階では、法令に基づくリサイクル対象物として管理され、廃棄物処理法上の「産業廃棄物」とは異なる整理がされる場合があります。
廃棄物として扱われる主な場面
一方で、使用済自動車に関連して廃棄物として扱われる場面も明確に存在します。
代表的なものは次のとおりです。
① 解体・破砕後に発生する残さ
シュレッダーダストなど、再資源化が困難な部分は、産業廃棄物として処理されます。
② 再使用・再利用の見込みがない部品
部品としての価値がなく、保管や売却の予定もない場合は、廃棄物に該当します。
③ 不適正な保管・放置状態の車両
長期間放置され、管理主体も不明確な車両は、実態として廃棄物と判断されることがあります。
有価物と廃棄物の判断が問題になるケース
使用済自動車では、有価物か廃棄物かの判断が問題になる場面が少なくありません。
例えば、
・中古部品として売却されるエンジン
・金属スクラップとして取引される部材
これらは、客観的に取引価値があり、適正な流通が確認できる場合には有価物として扱われる可能性があります。
しかし、
・形式的に「売却」としているだけ
・保管実態や処理状況が不明確
といった場合には、実質的に廃棄物と判断されるリスクがあります。
排出事業者責任との関係
使用済自動車の処理においても、排出事業者責任の考え方は重要です。
適切な登録・許可を受けた事業者に引き渡しているか
管理票や契約関係が整合しているか
こうした点が不十分な場合、排出側が責任を問われる可能性があります。
まとめ
使用済自動車は、すべてが一律に廃棄物となるわけではない一方で、廃棄物に該当する場面も多いという点が特徴です。
法令上の位置づけ、処理段階、実態を踏まえ、形式ではなく中身で判断されるという点を意識することが重要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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